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第1183話

Author: 風羽
灯りの下で、彰人の顔色は見るに堪えないほど悪かった。

しばらくして、彼は低い声で使用人に告げる。

「素うどんを二杯、頼む」

使用人は自然に言葉を継いだ。

「奥様もお呼びいたしましょうか?」

彰人は一瞬考え、かすかに笑う。

「いや、いい」

それ以上は尋ねられず、使用人は厨房へ向かった。

やがて、二杯の素うどんが運ばれてくる。

本当に簡素な一杯――薄口醤油をかけ、青ねぎを散らしただけ。

それでも、ほっとするような香りが立ち上る。

広いリビングの灯りは落とされ、ダイニングだけが柔らかく照らされている。

どこか、誕生日らしい静けさだった。

彰人は一人、席に座る。

目の前には二つの器。

まるで昔のように、もう一方のうどんから半分を自分の器へ移す。

願乃は少食で、いつも半分を彼に分けていたからだ。

箸を取り、うどんを一口。

ふと、隣へ視線を向ける。

そこには誰もいない。

それでも、彼は空気に向かって呟いた。

「願乃……まだ『おめでとう』、言ってないだろ」

当然、返事はない。

彰人はしばらくそのまま見つめ続け、やがて視線を落とし、静かにうどんを食べ始めた
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