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第525話

Author: 風羽
早朝、琢真は茉莉を車に乗せ、岸本家へ戸籍謄本を取りに戻った。

「降りなくていい」

そう言う彼に、茉莉は頬をふくらませておどけた顔を見せた。

「お父さんとお母さん、知ってるでしょ」

「だからいいんだよ。俺はこっそりの方が好きだ」

「……」

車内で待つこと十分、琢真は謄本を手に戻ってきた。

エンジンをかけ、勢いよく笑う。

「さあ、入籍だ」

……

茉莉はただふたりきりで手続きをするものと思っていた。だが、市役所に着くと小さな応接室に案内され、両家の家族が勢ぞろいしていた。

美羽が白いヴェールを差し出し、茉莉の髪に載せてやる。

ふたりは揃って白いシャツに着替え、婚姻届と共に記念写真を撮った。

最良の年頃で、互いのものとなる。

指輪を交換するとき、瑠璃と輝は視線を合わせ、目に涙を浮かべていた。自分たちの愛は不完全だったが、育て上げた子らは世界で最も美しい愛を手にしたのだ。

署名し、朱印を押す。茉莉と琢真は正式に夫婦となった。

——若き日の結婚。

心が高ぶるふたり。琢真は妻の顎を持ち上げ、十秒にも及ぶ口づけを落とした。

瞳の端はわずかに潤み、低い声で囁く。

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