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第584話

작가: 風羽
澄佳がふと振り返ると、そこに智也の母の姿があった。思わず目を見張ったが、すぐに静かに表情を和らげる。

——過去のことだ、と。

彼女は再び母との会話に戻った。

智也の母は呆然と見つめ、胸中には様々な思いが渦巻いていた。その隣で小さな桐生瑶(きりゅうよう)が無邪気に囁く。

「おばあちゃん、あの人すごくきれい」

智也の母の心はさらに複雑になる。

瑶はスプーンでスイーツを掬いながら、ぽつりと呟いた。

「ママよりきれい。パパの秘書よりも」

智也の母は胸の奥でため息をついた。

——あの娘に初めて会ったのは、もう何年も前。二十そこそこの若さだったけれど、あまりに美しく、家柄も申し分なく……その完璧さがかえって怖かった。

静香の言葉もあって、智也と長く続くはずがないと踏んだ。ならば、笑われる前にこちらから引いた方がいい。そう考えたのは、自分自身だ。

少し離れた席で、舞も智也の母に気づいた。

彼女はただ、ごく淡い笑みを浮かべただけだった。

……

三十分ほどして、澄佳たちは買い物を終え、ミニバンに乗り込んだ。

地下駐車場を出たところで、路肩に一人の老婦人が倒れているのが見えた
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