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第991話

Author: 風羽
夕梨が病室を出てくると、朝倉家の面々が一斉に彼女を出迎えた。

紀代は、涙ぐみながら尋ねた。

「どうだった?寒笙は何か食べてくれそう?」

夕梨は淡い笑みを浮かべた。

「ええ、もう大丈夫です」

朝倉家の人々は感謝の言葉を口にし、仁政もまた、惜しみない称賛を送った。

仁政は昔から夕梨のことを気に入っていた。だからこそ、今でも未練を抱いているのだ。

寒真があの女優と別れ、夕梨と寄りを戻せばいい、あの二人はあんなにお似合いだったのに、別れてしまうなんてあまりに惜しい――と。

夕梨は彼らの心中をおおよそ察していたが、静かに首を横に振った。

「兄と約束しているんです。三十分で戻ると言いましたから、もう時間です」

そう言い残すと、彼女は朝倉家の人々の引き留める言葉や感謝の声に構うことなく、足早に階段を降りていった。

その傍らで、低く落ち着いた声が響いた。

「送るよ」

夕梨が振り返ると、心配そうな表情を浮かべる寒真がいた。彼女は無意識にマフラーをかき寄せ、冷ややかな表情で答えた。

「その必要はありません、朝倉さん」

――彼女は彼を、朝倉さんと呼んだ。

寒真は拳を固く握りし
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