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第955話

Auteur: 風羽
夕梨は思わず固まった。

――ご両親が見ているのに。こんなふうに、堂々とキスをするなんて……少し露骨すぎないだろうか。

そんな彼女の戸惑いを察したのか、寒真は低く笑った。

「今朝、一緒に寝てたのはもう両親も知ってる。キス一つくらい、何だっていうんだ?」

夕梨は両手で頬を押さえ、小さな声で言う。

「私はあなたほど厚かましくないの」

寒真は彼女の肩を軽く引き寄せる。

華奢な身体は腕の中にすっぽり収まり、いっそう小さく見えた。

彼は見下ろすように彼女を眺め、もう一度尋ねる。

「で、昼は何を食べる?」

夕梨が居心地悪そうにしていると、向こうから声が飛んできた。

「こら、あんまり夕梨ちゃんをからかうな」

晴臣の声だった。

「今日は料理が多いぞ。ただし残念だが、今日はお前の好物中心じゃない。今日の主役は交代だ。嫁を迎える覚悟ってやつだな」

寒真は夕梨から目を離さず、声を落とす。

「いいよ。その代価なら、いくらでも払う」

紀代は二人の様子を見て、胸が温かくなるのを感じた。

同時に、ふとした寂しさも胸をよぎる。

――もし寒笙が生きていたら。家はどれほど賑やかだっただろう。寒笙はきっと驚いただろう。兄がこんなにも変わったことに。

食卓はこれ以上ないほど豪華だった。

角煮、殻付きの焼きタラバガニ、鶏をじっくり煮込んだ、天然きのこのスープ……

晴臣は三時間かけて、煮物や焼き物を中心にした温かい料理を八品、主になる料理を四品、さらに自慢の小鉢を四種も用意した。

まさに、もてなしの極みだ。

長いダイニングテーブルの中央には群青色の花瓶。

そこに白い薔薇が満開に活けられている。

晴臣が主座に座り、寒真は左手側に席を取る。

男同士、話題は自然と堅いものになっていた。

夕梨は紀代の隣に座った。

紀代は宇宙分野の第一人者だが、加賀谷家の出身らしく、どこかロマンチックで話も尽きない人だ。

そして寒真は会話の合間を見ては、カニの身を丁寧に剥き、きれいに整えて夕梨の皿に置く。

細い指が汚れないようにという気遣いだ。

その様子を見て、晴臣は内心で驚いた。

――まさか、こんな日が来るとは。

だが、それも無理はない。

夕梨にはその価値がある。

食事は終始、和やかだった。

食後、夕梨はそろそろ帰ろうと考える。

だが寒真は有無を言わせず彼女を二
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