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第7章 審問

Author: Lilian fabro
last update publish date: 2026-10-11 23:50:08

ライアンは、私がたった一人であの法廷に足を踏み入れるものだと思い込んでいた。

不機嫌な彼に4年間ずっと気を遣い続け、親族の前で彼をかばい、彼を愛しているがゆえにすべての痛みを飲み込んできた……そんな女がやって来るのだと。

彼は今、その思い込みを粉砕されることになる。

ダミアンの車から降り、生なりのブレザーの袖を整えた。手は冷たかったが、震えさせることだけは絶対に拒んだ。

ダミアンが車の裏手から回ってきた。一瞬、彼を見つめる。彼は準備ができているかなどと野暮な質問はしてこなかった。

ただ、静かに手を差し出してきた。その手を見つめた後、そっと握り返す。彼の指が私の手をしっかりと、温かく包み込んだ。そんな仕草にこれほど救われるなんて、本来ならおかしいはずなのに。

けれど、確かに救われていた。

裁判所の中に入ると、弁護士を伴ったライアンが待っていた。傍らにはソフィアも立っている。

ライアンが顔を上げ、私を視界に捉えた瞬間、彼の表情が一変した。そして、その視線がダミアンへ、そして重ねられた私たちの手へと向けられる。

顔からスーッと血の気が引いていくのが分かった。笑いそうになった。

……もう少しで。

ライアンの視線が私たちの間を行き来し、私の手を握るダミアンの手に怒りを込めて留まる。

「おい、あいつがここで一体何をしてるんだ!?」廊下に彼の怒声が響く。ダミアンは彼を見ようともしなかった。

代わりに、私の方へ少し体を寄せる。

「彼と話す必要はない」

うなずいた。ライアンが私たちに向かって踏み出してきた。「エヴァ」

足を止めた。

全てが崩れ去って以来初めて、私は夫の目をまっすぐに見つめた。「なぜソフィアなの?」「なぜ私なの?」「私じゃ駄目だったの?」という、あの必死な問いを投げかけたい衝動など一切感じずに。

尋ねるべきことなんて、もう何一つ残っていなかったのだ。

「……なんだか雰囲気が変わったな」彼が言った。

「私は何も変わっていないわ」

彼の目が細められる。「昨日まで泣いていただろ」

「ええ、泣いていたわ。でも……」彼の視線を受け止めた。「もう終わりよ」

彼の顔に何かが走った。

見た。彼がそれを予想していなかった証拠だ。

4年間、ライアンは私を打ちのめす方法を熟知していた。失望したような顔、冷たい態度、計算し尽くされた不躾な言葉。

私が揉め事をどれほど嫌っているか、彼は知り尽くしていたのだ。

大声で喧嘩をするくらいなら、静かに傷つく方を選ぶ人間だということを。

けれど、昨日の段階でその女は死んだ。

目の周りが腫れ上がり、泣きすぎて胸が痛くなるまでモーテルの浴室に閉じこもっていたあの女は、もういない。

文字が霞むまで離婚協議書を見つめ、涙が枯れ果てるまで泣き明かしたのだ。

ライアンに壊せるものなど、私にはもう何一つ残っていなかった。

彼の視線がダミアンへと移動する。「これは俺と妻の問題だ」

ダミアンがようやく彼を見た。

「なら、彼女を『妻』として扱うべきだったな」

静寂。ライアンの顎が硬くなる。ソフィアが彼の腕に触れた。「ライアン、もう中に入りましょう」彼はそれを払いのけた。

視線はダミアンに向けられたままだ。

「お前に俺たちの何が分かるって言うんだ」

「何も」ダミアンの声は静かだった。「だが、その『後』に何が起きたかは知っている」

ライアンが再び蒼白になった。

ダミアンの親指が、私の手背をそっと撫でるのが分かった。小さな、けれど私を確かに繋ぎ止めてくれる仕草。

扉が開いた。

「ナイト様?」書記官に向き直る。「はい」

「審問の準備が整いました」

息を一つ吐き出す。

もう一度。ライアンが私を見つめていた。

私が崩れ落ちるのを待っているのだ。

一言も発せず、彼の脇を通り過ぎた。

この4年間で初めて、ライアンが今の私をどう思おうと、どうでもいいと思えた。

私はようやく、彼には到底コントロールできない人間になりつつあったのだ。

法廷内は、想像以上に冷え込んでいた。

対面の位置にライアンが着席する中、私はダミアンの隣に座った。

彼の弁護士が、ほぼ間髪入れずに主張を開始した。

声に出して読み上げられると、その罪状はさらに不快な響きを伴った。

詐欺。無権限での資金移動。1,200万ドル。そのすべての言葉に私の名前が紐付けられている。

正面を見据え続けた。胸の奥では、自分がバラバラに砕け散っていきそうだった。

隣にいるダミアンの、微動だにしない気配を感じる。

ライアンの弁護士が言葉を終えると、裁判官がまっすぐに私を見た。

「ナイト夫人、あなたはこの送金を承認したことを否定しますか?」

「否定します」

声は震えなかった。ライアンが私を見る。

彼の顔に驚きが走るのを捉えた。涙を流すと思っていたのだろう。けれど代わりに、私は背筋を伸ばして座っていた。

裁判官が書類を精査する。

「承認書にはあなたの署名がありますが」

「私が書いたものではありません」

ライアンが席で身じろぎした。彼を見つめる。「私が書いていないことくらい、あなたが一番よく知っているはずよ」

彼の顔が硬化した。「エヴァ——」

「やめて」

意図した以上に鋭い声が出た。けれど、撤回するつもりはなかった。

ライアンはまるで未確認の怪物でも見るかのような目で私を見つめていた。

実際、彼にとってはそうだったのかもしれない。

裁判官がダミアン側の弁護士に答弁を求めた。

彼がゆっくりと立ち上がる。

「裁判長、私どもにはこの取引がナイト夫人に罪をなすりつけるため、意図的に仕組まれたものであると信じるに足る理由がございます」

ライアンの弁護士が異議を唱えたが、裁判官は続行を認めた。

モニターに一連の書類が映し出される。

銀行の記録。ログイン履歴。取引のタイムスタンプ。

ダミアンの弁護士がそれらを一つひとつ解説していくのを見つめた。

そして、彼は言葉を止めた。

「原告の主張には、決定的な問題点が一つ存在します」

ライアンの弁護士が眉をひそめた。「問題だと?」

「この送金は、ライアン・ナイト氏のプライベートオフィス内にある端末から承認されています」

法廷内が静まり返った。ライアンの顔色が変わる。

彼の方を振り返った。彼はもう私を見ていなかった。ダミアンを見つめていたのだ。

そしてダミアンもまた、すでに彼を鋭く見据えていた。

裁判官が身を乗り出す。「アカウントにアクセスした者を特定する証拠はあるのですか?」

「現時点ではまだ、裁判長」

ライアンが息を吐き出した。もう少しで胸を撫で下ろすところだった。

だが次の瞬間、ダミアンの弁護士が別の書類をテーブルの上に提出した。

「ですが、完全なアクセス記録の開示を請求しております」

裁判官がそれを見る。「銀行からのものですか?」

「左様でございます」

「その記録はいつ手に入るのだ?」

「24時間以内です」

ライアンが突如として立ち上がった。「裁判長! この件を先延ばしにする理由などありません!」

裁判官の目が細められる。「着席しなさい、ナイト氏」

ライアンは従った。けれど、今の彼には恐怖が見て取れた。

怒りでもなく、傲慢さでもない。明確な『恐怖』だ。彼は何かが迫っていることを知っていたのだ。そして、私も。

裁判官が双方の弁護士陣を見やった。

「記録が確認されるまで、争点となっている資産の追加移動は一切認めない」

心臓がドクンと強く鳴った。ライアンの弁護士が即座に抗議する。裁判官は手を挙げた。

「以上が本裁判所の命令である」

木槌が打たれた。審問は終了した。

ダミアンの方を向いた。彼は笑っていなかった。ただじっとライアンを睨みつけていた。

ライアンがゆっくりと立ち上がる。彼の目が私とぶつかった。

一瞬、二人とも動かなかった。

そして、彼は私にしか聞こえないほどの低い声でこう囁いた。

「君が一体……何を開始してしまったのか、何も分かっていないようだな」

胸の奥で恐怖が跳ね上がるのを感じた。けれど、視線は逸らさなかった。

「……あなたもね」

ライアンの表情が変わった。

そして初めて、彼は私という存在を恐怖しているように見えた。

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