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第23話

Penulis: 春うらら
どうも涼介も彼の親友たちも、結衣がどんなに傷つけられようと、絶対に彼から離れないと思い込んでいるらしい。

考えてみれば、それもまた、馬鹿らしいことだった。

涼真は首を横に振り、それ以上何も言わず、立ち去った。

詩織はそばにいた二人のホストに手で合図した。

「出て行っていいわ」

すぐに、個室には詩織と結衣だけが残された。

落ち着いた表情で感情の起伏が見えない結衣を見て、詩織は彼女に向かって両手を広げた。

「結衣、泣きたいなら私の腕の中で泣いていいわ。お姉ちゃんの腕は、いつでもあなたのために開いてるわ」

結衣は心の中にまだ少し残っていた悲しみが、その言葉を聞いて、思わず泣き笑いのような気持ちに変わった。

「認めるわ。さっき、彼に本当に別れるつもりなのかと聞かれた時、一瞬、胸が締め付けられた。でも、ただそれだけよ。

まだ辛い気持ちはある。でも、もう振り返ったりはしないわ」

涼介と結婚して一生互いに苦しめ合うくらいなら、今のこの一時の辛さの方がましだ。

結衣の表情が吹っ切れたのを見て、詩織は安堵のため息をつき、眉を上げた。

「そう思えたなら、それでいいわ」

涼介があんな騒ぎを起こした後では、詩織ももうこれ以上遊ぶ気にはなれなかった。

それに、結衣の様子を見ても、これ以上ここにいたいとは思っていないはずだ。

「もう遅いし、帰ろうか」

結衣は頷いた。

「うん」

二人はバッグを手に取って、バーを後にした。

一方、涼真は駐車場で涼介と誠を見つけた。

足音に気づき、涼介が顔を上げて、相手が涼真だと分かると眉をひそめた。

涼介が何を考えているか察したように、涼真が口を開いた。

「汐見さんと相田さんは、さっきもう帰ったぞ」

涼介の顔色が一瞬変わり、冷たく言い放った。

「俺たちはもう別れたんだ。彼女のことは俺には関係ない。わざわざ報告する必要はない」

涼真は一瞬ためらったが、やはり口を開いた。

「涼介……今回の汐見さんの別れ話、冗談には見えなかったぞ……」

涼介は冷笑しながら、手に持っていたタバコを揉み消した。

「本気だろうが嘘だろうが、そんなことはどうでもいい。別れを切り出したのは彼女の方だ。これから先、彼女がどんなに俺に頼み込んできても、俺が彼女と復縁することなんて絶対にありえない」

そう言うと、涼介はそのまま車のドアを開けて
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Komen (2)
goodnovel comment avatar
長野美智代
涼介は結衣さんに甘えてたんだよね。 何をしても許してくれると、自分からは離れないだろうと。クソだね。
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koz
飲酒運転はダメですよ
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