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第10話

Auteur: 今日こそ完結
私は呆然とした。

悟は全身の力を振り絞り、私の体をその胸にきつく、きつく抱きしめた。

彼は一言も発することができないほど泣きじゃくりながら、ただ、私の体から全ての病を絞り出すかのように、力強く抱きしめ続けた。

その日から、悟は手元の仕事を片付けると、ほとんど毎日顔を見せるようになった。彼はもう、他の誰でもない。ただ、私の悟だった。

時々、彼は私を連れて階下の庭園を散歩し、一緒にベンチに腰掛けて日向ぼっこをした。

病床のそばに座り、私が昔大好きだった、他愛もないドラマを一緒に観てくれた。

看護師に隠れて、私が食べたがっていた焼き鳥をこっそり持ってきてくれたこともあった。

それが見つかられた時は、看護師に廊下の端から端まで追いかけ回されて怒られていた。

けれど彼は何事もなかったかのように、耳を塞いで無表情に私の隣に座り、看護師が去ると、また焼き鳥を私に差し出すのだった。

私は彼の手を握り、叱られている彼を見て笑った。まるで、別れる前の時間に戻ったかのようだった。

でも、分かっていた。こんな時間は、もう長くはないのだと。

次第に、ベッドから起き上がって歩く力さえ失ってい
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  • 終曲、されど君はそこに   第10話

    私は呆然とした。悟は全身の力を振り絞り、私の体をその胸にきつく、きつく抱きしめた。彼は一言も発することができないほど泣きじゃくりながら、ただ、私の体から全ての病を絞り出すかのように、力強く抱きしめ続けた。その日から、悟は手元の仕事を片付けると、ほとんど毎日顔を見せるようになった。彼はもう、他の誰でもない。ただ、私の悟だった。時々、彼は私を連れて階下の庭園を散歩し、一緒にベンチに腰掛けて日向ぼっこをした。病床のそばに座り、私が昔大好きだった、他愛もないドラマを一緒に観てくれた。看護師に隠れて、私が食べたがっていた焼き鳥をこっそり持ってきてくれたこともあった。それが見つかられた時は、看護師に廊下の端から端まで追いかけ回されて怒られていた。けれど彼は何事もなかったかのように、耳を塞いで無表情に私の隣に座り、看護師が去ると、また焼き鳥を私に差し出すのだった。私は彼の手を握り、叱られている彼を見て笑った。まるで、別れる前の時間に戻ったかのようだった。でも、分かっていた。こんな時間は、もう長くはないのだと。次第に、ベッドから起き上がって歩く力さえ失っていった。痛み止めを食事のように飲んでも、錐で刺すような骨身に染みる痛みは抑えきれない。彼に車椅子に乗せてもらわなければ、この病床から一時的に離れることすらできなくなった。彼はいつも目を赤く腫らし、私の耳元で、何度も何度も私たちの未来を語って聞かせた。「絵里、元気になったら、オーロラを見に行こう。元気になったら、二人だけの店を開こう。焼き鳥屋もやめよう。大変だからな。元気になったら、結婚しよう!元気になったら……」私はいつも、無理に笑顔を作って、一つ一つ頷いて約束した。「うん……」でも、二人とも分かっていた。そんな日は、もう永遠に来ないということを……ある深夜。私は窓の外に浮かぶ冴え冴えとした月光を見つめ、ふと体を起こした。ベッドの脇でうたた寝をしていた悟が私に気づいて目を覚まし、眠たげな目をこすりながら尋ねてきた。「どうした、絵里?どこか具合でも悪いのか?」私は首を横に振り、静かに言った。「日の出が見たいの」彼は何かを予感したかのように、体が強張った。けれど何も問いただすことなく、ただ歯を食いしばり、真っ赤になった目で、

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  • 終曲、されど君はそこに   第5話

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