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25.血に濡れた女

مؤلف: 渡瀬藍兵
last update تاريخ النشر: 2026-08-02 19:00:00

『……さい』

 霧の奥から、掠れた声が聞こえた。

 何かが、こちらへ歩いてくる。

 ゆらり、ゆらりと身体を左右へ揺らしながら。それでも一歩ずつ、確実に僕たちとの距離を縮めていた。

「先輩、私の後ろへ」

 美琴の声には、ほんのわずかな硬さがあった。

 僕は黙って頷き、彼女の背後へ回る。

 年下だとか、女の子だとか、そんなことを気にしている場合じゃない。霊を相手にするなら、美琴の方が比べるまでもなく頼りになる。

 やがて白い霧を押し分けるように、その姿が現れた。

 ――血に濡れた女だった。

『ごめん……なさい……。ごめん……なさい……っ……!』

 誰へ向けているのかも分からない謝罪を、壊れたように繰り返している。

 長い黒髪は血に濡れ、何本もの束となって頬や首筋へ張りついていた。全身を覆う衣服も赤黒く染まり、青白い肌には紫色の死斑が浮かんでいる。

 顔は、両手で覆い隠されていた。

 けれど、細い肩は小刻みに震えている。指の隙間から漏れる声も、泣いているようにしか聞こえなかっ
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