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第54話

Auteur: 霜晨月
last update Date de publication: 2026-01-29 17:02:28

奏は練と颯斗のもとへ歩み寄り、血走った目で二人を睨みつけながら、喉の奥から掠れた声を絞り出した。

「睦弥は……どうなったんだ」

「リストカットだ」

正面に立つ練の声は冷え切っていて、そこには一片の温度もなかった。

奏の視界が暗転する。ただでさえ悪かった顔色が、みるみる土気色に変わっていく。

「だが、駆けつけるのが早かった。今は救命処置中だ」

颯斗は内心にわだかまりを抱えつつも、この旧友に対してはまだわずかな情が残っていたのだろう。奏の肩を抱き、ベンチへと座らせた。

「奏、一体どういうつもりなんだ。あんな状態の先生を、どうして一人で家に置いてきた。今ネットがどれだけ荒れてるか、知らないわけじゃないだろ」

「知ってるに決まってるだろ!」

堪忍袋の緒が切れたように、奏は怒鳴り声を上げた。

待合スペースにいた全員がぎょっとして振り返る。

「俺にどうしろって言うんだ!あいつが自分で招いたことだろ!」

奏は拳を固く握りしめ、目尻を裂くほどに見開いて、一語一語を叩きつけた。

「すみません、もう少しお静かにしていただけますか」

看護師が近づいてきて、控えめに声をかけた。

だが奏は狂犬のように「失せろ
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