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第847話

Author: 青葉凛
紫音の口調は穏やかだったが、その裏には明確な拒絶が込められていた。

大切な部下であり、妹のように思っている蘭の恋路を邪魔するような真似は、絶対にできない。

しかし、結衣は紫音の忠告など意に介さない様子で、ふんわりと笑った。

「もちろん、彼に想い人がいることは知っているわ。

でもね、紫音ちゃん。これは家同士が決めたことなのよ?私たちのような世界に生きる人間に、親の決定を覆す力なんてないわ。

それに、紫音ちゃんだって親の決めた相手と政略結婚して、今はあんなに幸せそうじゃない。親の敷いたレールに乗ることが、決して間違っているわけじゃないでしょう?」

結衣の言葉には、上流階級特有の冷酷な現実主義が滲み出ていた。

「彼が反発しているのは今だけよ。現実を受け入れるしかないと悟れば、いずれ私を受け入れるわ。……だって、彼には私以外にふさわしい相手なんていないもの」

絶対に浩一を自分のものにする。その揺るぎない執着を見せつけた後、結衣は声のトーンを甘く落とし、紫音にすり寄るように身を乗り出した。

「おば様から聞いたわ。紫音ちゃんと彼、今でもすごく親しい友人関係なんですってね。

だか
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