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第三十二話:触れたくない想い

Autor: 古紫汐桜
last update Última atualização: 2026-02-25 19:00:00

「麗さん?」

急に黙り込んだ鳩村課長を見上げると、とても申し訳なさそうな顔をしていた。

「チッ。その程度の覚悟かよ」

野宮部長は吐き捨てるように言うと、

「死ぬ気でかかって来ないなら、邪魔すんじゃねぇよ」

そう言って、私の肩を抱いて歩き出した。

「あの……貴生さん? 麗さんはどうしたんですか?」

野宮部長の車へと連れて行かれながら戸惑っていると、鳩村課長が私たちの前に立ちはだかった。

「貴生、ごめん。やっぱり譲れない」

そう言ったかと思うと、私の腕を掴んで引き寄せる。

そして、私の肩に掛けられていた野宮部長のジャケットを脱がせ、それを本人に突き返した。

「今日は、ずっと貴生が独り占めしていたんだから。帰りは僕に送らせて」

そう言って自分のジャケットを脱ぎ、私の肩に掛けると、そのまま腰を抱いて歩き出す。

「???」


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  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第四十話:デート……ですと?

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  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第三十九話:買い出し……じゃないだと?

    『コンコン』その日は、ノックの音から始まった。「はい?」部屋のドアを開けると、鳩村課長が立っていた。「こずえちゃん、この後時間ある?」そう聞かれ、私は(買い出しかな?)と思いながら、「はい、大丈夫ですよ」と微笑んだ。「良かった……。じゃあ、すぐ用意するから出掛けよう。リビングで待ってるね」そう言われ、私はドアを閉めた。クローゼットを開くと、麗子様のサロンに行くたびに新しく用意されている、お高いワンピースが並んでいる。(買い出しだしなぁ~)そう思いながらも、麗子様に似合うと褒められたワンピースを手にしている自分に苦笑いする。ふと、(このワンピースを着るのに、下着はいつもので良いのか?)と、自分に問いかけた。答えは――否!たとえ買い出しでも、白鳩様と並んで歩くなら、きちんとしなければ!そう思い、結局、麗子様のサロンで用意されたままの一式を身に付けた。髪を整え、軽くメイクをしてリビングへ向かう。すると――茶色のアウターにワインレッドのインナー。ベージュのボトム。眩しい。「わぁ、こずえちゃん。可愛いね」最近、一泊二日で自宅に帰っている鳩村課長は、直近の麗子様コーデを知らないのだ。「麗子様コーデですけど……」エヘへ、と笑うと、「麗子さんのセンスは良いからね」そう言って微笑んだ。「じゃあ、行こうか」そう言って歩き出す。並んで歩き、いつもの車に乗り込んだ。「今日は何の買い出しですか?」シートベルトを締めながら聞くと、「買い出し?」鳩村課長が首を傾げる。「え?……これから買い出しに行くんですよね?」「……」「え?違うんですか?」慌てる私に、「こずえちゃんは、貴生とはデートするのに、僕とは買い出しだけなの?」ぷくっと頬を膨らませた。ガハッ。何? その可愛いむくれ顔。今、私の全穴という穴から出血しましたが?「そ……そうじゃないですけど」「分かってて可愛い服装してくれたと思ってたのに」唇を尖らせる鳩村課長。……私を出血多量で殺す気ですか?そんなことを考えていると、車は麗子さんのサロンへ入っていった。「いらっしゃいませ、鳩村様。野宮は今接客中ですが……。ご予約ですか?」戸惑うスタッフの皆様に、鳩村課長は笑顔で答える。「あ、今日は洋服を見に来ただけなんだ」(洋服?麗子様のお店っ

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