Teilen

第三十五話:麗さんの腹痛の正体は?

Autor: 古紫汐桜
last update Zuletzt aktualisiert: 2026-02-28 21:49:37

その日、クルージングを終えて帰宅すると、鳩村課長がかなり参った様子でソファーに座っていた。

「麗さん? 帰っていたんですか」

足早に近付くと、ソファーに身体を預け、目元に置いていた手をゆっくりと下ろして私を見た。

「こずえちゃんもおかえり。楽しかった?」

無理に笑う鳩村課長が痛々しい。

すると遅れて野宮部長も現れ

「なんだ……麗、随分と疲れてるな」

と言いながら、鳩村課長の隣に腰掛けた。

「うん……まぁ、いつものことだよ」

苦笑いを浮かべる鳩村課長の笑顔が辛そうで、思わず鳩村課長を抱き締めた。

「こずえちゃん?」

驚く鳩村課長の背中を優しく撫でながら

「辛いなら、いくらでも私の胸を貸します!だから、無理に笑わないで下さい!」

そう言い切った私の身体を、鳩村課長がゆっくりと押し戻した。

「ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ」

弱々しく笑う鳩村課長に

「麗さん、無理しないで下さい!」

そう言って、ぎゅっと鳩村課長の頭を抱き締めた。

その瞬間、鳩村課長の身体がカッチーンと固まった。

(あれ?……どうしたんだろう?)

首を傾げて麗さんを見ると、耳まで真っ赤にしている。

そして、そっと私
Lies dieses Buch weiterhin kostenlos
Code scannen, um die App herunterzuladen
Gesperrtes Kapitel

Aktuellstes Kapitel

  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第四十二話:嫉妬

    え? 何がどうしたの? いきなり抱き締められて、私は混乱していた。 「れ、れ、麗さん?」驚く私に、麗さんは少し困ったように笑う。 「ごめん。誰にでも、触れられたくない事ってあるよね」その言葉に、私は小さく息を吐いた。 「心配させてごめんなさい。そんな大した事じゃないんです。ただ……麗さんも貴生さんも優しいから、つい……」言いながら、照れくさくなって笑った。 「自分が普通の女の子なんじゃないかって思っちゃうんです」えへへ、と笑うと、麗さんは突然真剣な顔になる。 「こずえちゃん!」私の肩を掴み、力強く言った。 「きみは普通の女の子……いや、普通より全然、可愛い女の子だよ」 「信じられないって言うなら、僕が何度だって言ってあげる」真剣な言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。 「麗さん、ありがとうございます」微笑んで言うと、麗さんがそっと私の頬に触れた。あ……これ、ヤバい空気だ。長いキス……来そう。私はとっさに自分の口を手で隠した。 「……何してるの?」 「え? 今、キスしようとしてますよね?」 麗さんは少し驚いた顔をする。 「こずえちゃん、嫌なの?」 「嫌とか嫌じゃないとか以前に……こういう事は恋人とするべきだと思うのです」私の言葉に、麗さんが「なるほど……」と呟く。 (よし……なんとか流されキスは回避できた)ほっとした、その瞬間。 「じゃあ、こずえちゃん」 麗さんがにっこり微笑んだ。 「僕の恋人になってよ」私は目が点になる。 「麗さん? 恋人いるんですよね?」 「…………はぁ?」 今度は麗さんが目を点にした。 「職場

  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第四十一話:抱擁

    気が付くと、私は鳩村課長と車の中だった。 「お、意識戻った?」 鳩村課長は運転しながら声を掛けてきた。 「え? 私……」 混乱していると、鳩村課長が苦笑する。 「あぁ……途中で目を開けたまま失神してるみたいだったから、麗子さんと別れて、そのまま目的地に向かってたんだ」 あははは、と笑う鳩村課長。 さすが鳩村ママ。 私の対処法をよく分かっていらっしゃる。 「ご迷惑をお掛けして、すみません」 小さくなって言うと、 「迷惑なんて思ってないよ。気にしないで」そう言われて「はぁ……」と返事をしたその時──私は視線の端に、後部座席の麗子様のお店のショップバッグを見つけてしまった。 (待って待って待って! なんであんな大きな紙袋が三つも後部座席に乗ってるの?)ぐりんっと顔を前に向け、冷や汗が流れる。いや、待って! 鳩村課長のお母さんとかお姉さんに渡すプレゼントかもしれないじゃない!ヤダ、私ったら!自意識過剰すぎ!ペチペチと軽く頬を叩く。 「どうしたの?」そんな私に鳩村課長が心配そうに声を掛けてきた。 「あはは……自意識過剰な己を律していました」そう答えると 「自意識過剰? こずえちゃんが?」鳩村課長は赤信号で止まり、私を見て首を傾げた。 「はい! 私ごとき腐った壁女が、恐れ多いことを考えてしまいまして」すると鳩村課長は少し考える顔をして 「ふぅん? でも、こずえちゃんは少しくらい自意識過剰でもいいんじゃない?」と言った。私は物凄い勢いで鳩村課長を見る。 「前から思っていたのですが……麗さんも貴生さんも、私を甘やかし過ぎです」そう答えると、信号が青になった。鳩村課長は視

  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第四十話:デート……ですと?

    「うん、よく似合うよ。こずえちゃん」ご機嫌な笑顔を浮かべる鳩村課長に、私は戸惑いながら自分の服を見下ろした。「これは……?」今の私は、全身“鳩村課長コーデ”。野宮部長のコーデは甘め。麗子様は、きちんとしていながら少し甘め。それに比べて鳩村課長のコーデは、シックで品のある大人の雰囲気。三者三様の好みなんだなぁ……と思いながら、「あの……今日の服装、気に入らなかったですか?」しょんぼりしながら尋ねると、鳩村課長は優しく首を振った。「今日の服装も素敵だったよ。でもね、僕がコーディネートした服も着てほしかったんだ。迷惑だった?」目をきゅるるんっと潤ませながら、私の手を取り、小首を傾げる。グッハ……。吐血案件です。鳩村課長、その可愛い顔は反則です。ドキドキする胸を押さえていると、「あら!麗じゃない?」奥の扉から、麗子様が現れた。「こんにちは、麗子さん。忙しいだろうから挨拶はいいって言ったのに」苦笑いする鳩村課長に、麗子様はふふっと笑う。「何言ってるのよ。たまには可愛い甥っ子の顔、見たいじゃない?」そう言って、鳩村課長の頭を優しく撫でた。そして、私を見ると、「あらあら……独占欲、丸出しね」小さく笑った。(……独占欲?)首を傾げる私をよそに、二人は普通に会話を続ける。「あぁ、そうだ。売上貢献ありがとうね」「いえ。女性の服のサイズは分からないので、行きつけの麗子さんのお店なら、デザインを選べばいいだけですから」「はぁ……。うちのバカ息子も、麗くらい賢いといいのに」「貴生は……天才肌ですからね。僕みたいな凡人は、貴生に追いつくだけで精一杯ですよ」二人の会話を聞いているうちに、私の腐女子スイッチが入った。(なんか今の会話……嫁姑っぽい!)

  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第三十九話:買い出し……じゃないだと?

    『コンコン』その日は、ノックの音から始まった。「はい?」部屋のドアを開けると、鳩村課長が立っていた。「こずえちゃん、この後時間ある?」そう聞かれ、私は(買い出しかな?)と思いながら、「はい、大丈夫ですよ」と微笑んだ。「良かった……。じゃあ、すぐ用意するから出掛けよう。リビングで待ってるね」そう言われ、私はドアを閉めた。クローゼットを開くと、麗子様のサロンに行くたびに新しく用意されている、お高いワンピースが並んでいる。(買い出しだしなぁ~)そう思いながらも、麗子様に似合うと褒められたワンピースを手にしている自分に苦笑いする。ふと、(このワンピースを着るのに、下着はいつもので良いのか?)と、自分に問いかけた。答えは――否!たとえ買い出しでも、白鳩様と並んで歩くなら、きちんとしなければ!そう思い、結局、麗子様のサロンで用意されたままの一式を身に付けた。髪を整え、軽くメイクをしてリビングへ向かう。すると――茶色のアウターにワインレッドのインナー。ベージュのボトム。眩しい。「わぁ、こずえちゃん。可愛いね」最近、一泊二日で自宅に帰っている鳩村課長は、直近の麗子様コーデを知らないのだ。「麗子様コーデですけど……」エヘへ、と笑うと、「麗子さんのセンスは良いからね」そう言って微笑んだ。「じゃあ、行こうか」そう言って歩き出す。並んで歩き、いつもの車に乗り込んだ。「今日は何の買い出しですか?」シートベルトを締めながら聞くと、「買い出し?」鳩村課長が首を傾げる。「え?……これから買い出しに行くんですよね?」「……」「え?違うんですか?」慌てる私に、「こずえちゃんは、貴生とはデートするのに、僕とは買い出しだけなの?」ぷくっと頬を膨らませた。ガハッ。何? その可愛いむくれ顔。今、私の全穴という穴から出血しましたが?「そ……そうじゃないですけど」「分かってて可愛い服装してくれたと思ってたのに」唇を尖らせる鳩村課長。……私を出血多量で殺す気ですか?そんなことを考えていると、車は麗子さんのサロンへ入っていった。「いらっしゃいませ、鳩村様。野宮は今接客中ですが……。ご予約ですか?」戸惑うスタッフの皆様に、鳩村課長は笑顔で答える。「あ、今日は洋服を見に来ただけなんだ」(洋服?麗子様のお店っ

  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第三十八話:悩みと憧れ

    今日は麗子様の施術日だ。「貴生、毎月第四日曜日はこずえちゃんを連れて来て」その一言で、私は月に一度、ピカピカに磨かれている。お陰様で身体は引き締まり、鳩村課長の料理で健康体。気付けば10kgも落ちていた。(ゴッドハンド&麗さんの健康食、恐るべし!)鳩村課長は「こずえちゃんのプニプニお腹が~」と嘆いていたけれど、「エアー脂肪で我慢する」と言っていた。(エアー脂肪って、何?)……でも。恋人が出来たのなら。私は、もうお役目御免なのではないだろうか。そう思うと、胸がチクリと痛む。あの夜に見た鳩村課長は、やっぱり夢だったのだと。ガッカリしている自分に、苦笑いしてしまう。すると、いつもは黙々と施術をしている麗子様が、ふと口を開いた。「こずえちゃん、何か悩み?」「え?……あ、いえ」「貴生の母親だと、話しづらい?」そう言われ、言葉を探していると、「大丈夫よ。ここで聞いた話は誰にも言わないから」その一言に背中を押され、私は慎重に言葉を選ぶ。「友達の話なんですけどね……」(バレバレの常套句だ)「なるほどね。実家に帰ると言っていた人が、綺麗な女性と歩いているところを見られた、と。で、その人が彼女ではないかと噂になっている、と」事情を知る麗子様には、当然お見通しだろう。「それで、こずえちゃんはどう思ってるの?」突然振られ、私は正直に答えた。「信じたい気持ちと……もしかしたら、の気持ちで複雑です」「その“複雑”って、何から来ていると思う?」問われ、私は首を傾げる。「ふふふ。まだまだね。その気持ちの意味は、自分で探しなさい」優しく頭を撫でられる。そして静かに言った。「不安なら、本人に聞くのも一つよ。答えを持っているのは、麗だけな

  • 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。   第三十七話:嫉妬

    「ねぇ、聞いた?」「聞いた聞いた! 白鳩様の恋人の話でしょう?」その日、野宮部長も鳩村課長も外回りで、私は久しぶりに食堂で昼食をとっていた。すると、あちこちのテーブルからヒソヒソとした声が聞こえてくる。なんの話だろう? と首を傾げていると、「こずえ、聞いた? 白鳩様の恋人の話」と声をかけられた。「え? 鳩村課長の恋人?」「あんた最近、こっちでご飯食べないから知らないのよ」そう言われ、苦笑いを返す。「この間の日曜日、総務の秋川さんが見たんだって」(この間の日曜日って……確か麗さんは実家に帰ってた日だよね)「誰を?」「白鳩様を」一瞬、ざわりと胸の奥が騒いだ。「めちゃくちゃ美人と腕組んで歩いてたらしいよ」「え……?」「白鳩様を“麗”って呼んでたんだってさ~。白鳩様の滑らかなエスコートで、二人、車に乗って夜の街に消えてったらしいよ」その瞬間、胸の奥がじわりと冷えた。「こずえ?」固まった私を、小川ちゃんが心配そうに覗き込む。「こずえ、黒鷹×白鳩信者だからショックよね」背中をぽんと叩かれ、私は慌てて笑った。「あ、いや……」すると別の声が飛ぶ。「ねぇ、こずえ。あんた、痩せた?」「え? ……痩せたかな?」エヘッと笑うと、黙っていた渡辺さんが突然叫んだ。「恋か!? 恋したのか!?」「えぇっ、そんなんじゃないよ! 知り合いのエステティシャンの方のモニターになっただけ!」「羨ましい~! 最近綺麗になったって噂だよ? どうやったらなれるの?」テーブルが一気に盛り上がる。「えっと……普段はモニターとかしてなくて。何故か私、気に入られちゃって……」アタフタしていると、「肌も髪も艶々だし、痩せて綺麗になってさ~

Weitere Kapitel
Entdecke und lies gute Romane kostenlos
Kostenloser Zugriff auf zahlreiche Romane in der GoodNovel-App. Lade deine Lieblingsbücher herunter und lies jederzeit und überall.
Bücher in der App kostenlos lesen
CODE SCANNEN, UM IN DER APP ZU LESEN
DMCA.com Protection Status