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第11話

Auteur: キン
しばらくすると、花菜の泣き声は徐々におさまった。ようやく落ち着くと、大人の自分が子供のように泣いてしまったことが、少し照れくさかった。

花菜は鼻先が赤くなったまま立ち上がり、拓海の顔を直視できなかった。そんな彼女に、拓海が優しく頭を撫でた。「どうしたの?まだ照れてるの?」

その一言で花菜はますます顔を赤らめ、ちょっとふてくされたように拓海をにらみながら、手で顔を拭って言った。「誰のことを言ってるのよ!」

そんな花菜の様子を見て、拓海は思わず笑い出した。そして、彼は真面目な表情に戻って言った。「わかった、もうからかわないよ。でも約束してくれ、これから辛いことがあったら、ちゃんと俺に話して。一人でこっそり泣いたりしないで」

花菜は軽くうなずき、ほのかな笑みを浮かべた。「あなたこそ泣き虫なのに。うん、これからは何かあったらちゃんと話すわ。とりあえず、顔を洗ってくるね」

泣いた後の花菜は気持ちがすっかり軽くなり、まるで長い間抱えてきた辛さやモヤモヤが、涙と一緒に流れていったようだった。

洗面所に行き、鏡に映った赤い鼻先と潤んだ目元を見て、思わずくすっと笑った。彼女は、もう蓮司のこと
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  • 花菜の想い、背ききれず   第18話

    花菜の美術展は三ヶ月かけて準備された。開催の前日、彼女はアトリエで忙しくしていたが、思いがけず東都市から一本の電話がかかってきた。「もしもし、花菜様でいらっしゃいますか?」花菜が「はい」と答えると、相手は丁寧な口調で言い続けた。「私は蓮司様の弁護士を務めております者です。実は数日前、蓮司様がお亡くなりになりました。ご遺言により、花菜様宛ての手紙をお預かりしております。お差し支えなければ、お届け先のご住所をお伺いしてもよろしいでしょうか?」「亡くなった......?」花菜は受話器を握りしめ、息が詰まった。かつての感情のもつれや苦い記憶、そして二人の最後の決別の光景が、花菜の脳裏をよぎった。決して円満な別れではなかったが、蓮司の死は花菜にとってやはり大きな衝撃だった。受話器を持つ手がかすかに震え、胸の内に複雑な思いが渦巻いた。「はい、蓮司様はお亡くなりになりました」相手が重ねて告げると、花菜はそれ以上何も聞かず、住所だけを伝えて電話を切った。その日のうちに手紙は届けられた。封を開けると、わずかに震えはあるものの、はっきりとした蓮司の筆跡で書かれた文面が現れた。【この手紙をお前が読む頃には、俺はもうこの世にいないかもしれない。どうか俺の勝手を許してほしい。お前のいない人生には耐えられなかった。だから、こんな形でお前に別れを告げることにした。でなければ、この機会すら得られないと思ったからだ。まず、お前に伝えたいのは『ごめん』という言葉だ。この一言では、お前を傷つけたことの償いには到底足りないと分かっていた。お前と過ごした日々を大切にしなかったことや、お前の大切さにもっと早く気づけなかったことや、俺の身勝手さと愚かさでお前を苦しめたことなど、すべてを後悔している。人生の最期でようやく気づいた。本当に愛していたのはお前だった。お前の笑顔も、温もりも、才能も、すべてが忘れられない。時間を巻き戻して、もう一度選び直せるなら、今度こそお前を心から愛したい。今さら謝っても、愛を伝えても遅すぎるのは分かっている。でも、お前が俺の心の中でずっと特別な存在だったことを、どうか知っていてほしい。俺の死が、お前にあまり大きな悲しみを与えないことを願っている。どうか夢を追い続け、輝かしい人生を歩んでくれ。俺の身勝手を許してほしい。最後の最後まで、

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    蓮司の言葉を聞き終わり、花菜は思わず笑ってしまった。まさかこの人生で、蓮司の口から謝る言葉を聞く日が来るなんて、想像もしていなかった。花菜はかつて蓮司を深く愛していた。その愛は純粋で、全てを顧みずに突き進んだ。夢も、優しさも、情熱も、愛も――すべてをこの恋に捧げた。二人が付き合っていた三年間、彼女はいつも黙って思いを捧げ、そっと蓮司からの愛を待っていた。花菜の心には次第に蓮司に対する恨みが積もっていった。彼の冷たさ、無情さ、さらにはほんのわずかな愛情さえも与えてくれないことが、彼女の心を何度も刺し続けた。心の奥底では、彼女はずっと蓮司に自分を見てもらい、自分の想いに気づいてもらうことを願っていた。せめて一度だけでも「ごめん」と言ってくれれば、それでいいのに。だけど、蓮司は一度も謝らなかった。どんなに酷いことをしても、どんなに傷つけても、謝罪の言葉は一度もなかった。本当に一度もなかった。今になって、蓮司はやっと謝った。しかし、花菜はもう、その言葉に何も感じなかった。蓮司のすべての言葉を静かに聞き終え、花菜は冷たく告げた。「蓮司、すべての過ちが許されるわけじゃない。それに、今の私に謝罪なんて必要ないの。もう、あなたのことを愛してないから。あなたへの気持ちは、毎日の冷たさや傷つけられるたびに、少しずつ消えていった。あなたのことを愛してないから、もう何の関係もないんだ」花菜が一言一言はっきりと告げるたびに、蓮司は完全に打ちのめされていった。蓮司は初めて、足元が崩れるような感覚に襲われた。その声には執着に満ちていた。「違う!そんなはずない......お前が俺を愛してないなんて......あり得ない......」でも、花菜の目はとても静かで、揺るぎがなかった。その静けさが、蓮司の心を鋭く突き刺した。長い沈黙した後、蓮司はようやく口を開いた。「俺は......本当にお前を失ったんだな?」蓮司はほんのり苦笑いを浮かべ、目には痛みと絶望がにじんでいた。頭ではずっと分かっていたことなのに、心はまるで抉られるように苦しかった。花菜は微笑んだ。「蓮司、あなたはとっくに私を失ってたのよ」そう言い残すと、花菜は未練もなく振り返らず、その場を離れた。蓮司はその背中を見つめながら、地面にしゃがみ込み、泣き崩れるしかなかった。遅すぎた愛

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