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第3話

Author: 柚子ひとつ
翌日、晴人は紗夜をバーに誘った。

「体調がよくないから、今日はやめておく」と断ったが、晴人は紗夜を強く抱きしめ、耳元で優しく囁く。

「行こうよ、紗夜。前にホテルであんなことがあって、みんなまだ心配してるんだ。たまには気分転換もしようよ」

まっすぐに晴人を見つめる。

また何か企んでいるのか、今度はどんな手で復讐しようとしているのか、紗夜には分からなかった。

少しだけ軽く笑ってみせる。

「分かった、行くよ」

バーに着くと、みんなが次々に紗夜にお酒をすすめてくる。

紗夜はそのすべてを断らず、グラスを一気に飲み干した。

あまりにも気持ちよく飲むので、みんなの表情には満足げな色が浮かぶ。

「紗夜、私からも一杯」と井芹夕凪(いせり ゆうな)がグラスを持って微笑みながら近づいてきた。

夕凪は夏穂の双子の妹で、姉と七割がた似ている。この数年ずっと晴人のそばにいた。

以前は友達だと思っていた。

けれど晴人との関係の真実を知ってからは、夕凪のことも素直に見られなくなっていた。

「ありがとう」

紗夜はグラスを持ち上げ、一息で飲み干した。

そのとき、夕凪の足元が滑り、手に持っていたグラスの酒がすべて紗夜の服にこぼれた。

「わっ、大変!ごめんね、紗夜。大丈夫?」

夕凪は心配そうに見せかけて声をかける。

「大丈夫」

頬が赤くなり、紗夜は頭を軽く押さえる。まるで酔っ払ったように見せかけた。

「服が濡れたままだと風邪ひいちゃうよ。上で着替えよう?」

晴人の顔を見ると、晴人も「大丈夫だよ、行っておいで」とうなずいた。

紗夜は立ち上がり、夕凪に支えられながらふらふらと歩く。

バーの上の階には、きれいな個室が用意されている。

夕凪は紗夜を部屋に連れていくと、「まず服を脱いでて。私が新しい服を取ってくるから。ここで待っててね、勝手に出歩いちゃだめだよ」と言い残して部屋を出ていった。

「うん、分かった」

紗夜は答える。

扉が閉まる。

さっきまで酔ったようだった紗夜の表情が一変する。

目は澄んでいて、どこにも曇りがない。

事前に飲酒対策の薬を飲んでいたから、いくら飲まされても何も感じない。

全部、彼らが何を仕掛けてくるか確かめるためだ。

晴人の服にはあらかじめ盗聴器を仕込んでおいた。

今、スマートフォンを開けば、晴人たちの会話がそのまま耳に飛び込んでくる。

「晴人、心配しなくて大丈夫。準備は万端。情報も確かだ。今日、氷川(ひかわ)がここで取引してるんだ。上の部屋は彼のために用意した」

「誰だって知ってるだろ、氷川は女に興味がないって。これまで何人もあてがわれてきたけど、全部相手にしなかったらしい」

「でも今夜ばかりは、紗夜も逃げられないよ。明日の朝、晴人は心配してるふりをして、瀕死の紗夜を助け出す。そしたら、ますます惚れ直すさ」

晴人は黙ったまま、視線を落とし、どこか浮かない表情だ。

「でも……もし氷川が本当に紗夜に何かしたら……」

しばらく黙っていた晴人が、ようやく口を開く。

そのとき、夕凪が戻ってきた。

彼の肩に手を乗せ、甘えた声で言う。

「晴人、そんなに心配してるの?氷川がどれだけ変わり者か知らないの?いくら美人が裸でベッドに入ってても、全然見向きもしないんだから。それに、あの女が姉さんを殺したんだよ。もし氷川に抱かれるなら、それこそ彼女の運がいいくらいじゃない?」
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