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第21話(7)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-03-21 08:00:59

 賢吾と千尋は、奔放に乱れる和彦をじっと見つめていた。興奮して強い光を放つ目は怖くもあり、優しくもある。向けられる眼差しにすら、和彦は反応してしまう。

「……先生、もうイク?」

 甘えるような声で千尋に問われ、頭の中が真っ白に染まるのを感じながら夢中で頷く。すると、内奥深くを抉るように突き上げられた。一度目で全身が快感に痺れ、二度目で瞼の裏で閃光が走る。一拍遅れて、下腹部が濡れるのを認識した。二人の男たちが見ている前で精を放ったのだ。

 和彦のその姿に刺激されるものがあったのか、ふいに賢吾が内奥から欲望が引き抜く。そして傲慢な表情で、和彦の胸元に向けて精を迸らせた。

 賢吾としては、〈オンナ〉を精で汚すことで所有欲を満たしたのかもしれない。被虐的な悦びに浸りながら和彦は、そんなことをぼんやりと考える。

「さあ先生、甘ったれの子犬が待ちかねているぞ」

 和彦の頬を手荒く撫でてから、賢吾が笑いを含んだ声で囁いてくる。意味を理解したときには、弛緩した和彦の体はうつ伏せにされ、腰を抱え上げられた。挑ん
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  • 血と束縛と   第21話(8)

    **** 和彦は、ここ最近忙しさもあってサボりがちだったジムに行き、体を動かしていた。忙しいとはいっても、基本的に座り仕事が多いし、移動は車だ。気を抜くとすぐに運動不足になる。数年ぶりに熱を出して寝込んだことで、普段からの体作りの大切さを思い知った。 ランニングマシーンでたっぷり走ってから、軽めのメニューをこなし、ウェイトコーナーに向かう。置いてあるベンチに横になり、腹筋のトレーニングをしてみたが、やはり少し筋力が落ちているようだ。 クリニックを開業してから、ようやく生活のリズムが掴めてきたところなので、ジム通いの回数を元に戻そうかと和彦は考えている。組からの仕事が入らなければ、比較的夜は時間が取れるのだ。ただし、賢吾に勝手に予定を押さえられなければ、という前提で。「――あまり、病み上がりという感じじゃないですね、先生」 ベンチの傍らに立ったジム仲間に声をかけられ、和彦は首の後ろで組んでいた両手を離す。 久しぶりに体を思いきり動かして汗だくになっている和彦とは違い、中嶋は首筋や額にうっすらと汗をかいている程度だ。日常的に体を動かしている人間とは、こういうところで差が出るらしい。「サボっていたツケだな。体が重くて仕方ない」 中嶋に片手を差し出され、その手を掴んで和彦は体を起こす。館内の時計を見上げると、二時間近く、無心に体を動かしていたようだ。「そろそろシャワーを浴びに行きませんか?」 中嶋の言葉に頷き、和彦は立ち上がる。クリニックを閉めてから、この後、中嶋と一緒に夕食をとるのだ。 今晩ジムに行くと、和彦が中嶋の携帯電話にメールを送り、中嶋の都合がつけばこうして合流する。お互い忙しいうえに、いつ仕事で拘束されるかわからない境遇なので、不確実な約束を交わすより合理的で、気楽なのだ。 今日はもう、ジムで中嶋と顔を合わせた時点で、護衛の組員には帰ってもらっている。時間を気にせず、中嶋と食事を楽しむためだ。 慌しくシャワーを浴びて髪を乾かすと、ジムのロビーに下りる。すでに中嶋は待っており、携帯電話で誰かと話している。和彦の姿を見るなり電話を切り、一緒に車に向かう。

  • 血と束縛と   第21話(7)

     賢吾と千尋は、奔放に乱れる和彦をじっと見つめていた。興奮して強い光を放つ目は怖くもあり、優しくもある。向けられる眼差しにすら、和彦は反応してしまう。「……先生、もうイク?」 甘えるような声で千尋に問われ、頭の中が真っ白に染まるのを感じながら夢中で頷く。すると、内奥深くを抉るように突き上げられた。一度目で全身が快感に痺れ、二度目で瞼の裏で閃光が走る。一拍遅れて、下腹部が濡れるのを認識した。二人の男たちが見ている前で精を放ったのだ。 和彦のその姿に刺激されるものがあったのか、ふいに賢吾が内奥から欲望が引き抜く。そして傲慢な表情で、和彦の胸元に向けて精を迸らせた。 賢吾としては、〈オンナ〉を精で汚すことで所有欲を満たしたのかもしれない。被虐的な悦びに浸りながら和彦は、そんなことをぼんやりと考える。「さあ先生、甘ったれの子犬が待ちかねているぞ」 和彦の頬を手荒く撫でてから、賢吾が笑いを含んだ声で囁いてくる。意味を理解したときには、弛緩した和彦の体はうつ伏せにされ、腰を抱え上げられた。挑んできたのは、すっかり興奮した千尋だ。「千尋、待っ――」「優しくするね、先生」 言葉とは裏腹に、蕩けた内奥の入り口に余裕なく熱いものが押し当てられた。「あうっ」 ぐっと内奥に挿入され、声を洩らした和彦は背をしならせる。賢吾の形に馴染んだはずの場所は、すでにもう千尋のものをきつく締め付け、快感を求めると同時に、甘やかし始める。千尋の息遣いが弾み、乱暴に腰を突き上げられた。「うっ、うあっ……」「先生の中、すごく、熱い。熱のせいかな。それとも、オヤジがめちゃくちゃにしたから?」 意地の悪い問いかけに答えられるはずもなく、和彦は唇を引き結ぶ。すると、いつの間にか枕元に移動した賢吾に顔を覗き込まれ、唇を指で割り開かれた。 口腔に入り込んだ指が蠢き、粘膜や舌を擦られる。内奥での律動を繰り返されながらそんなことをされると、唇の端から唾液が滴り落ちる。賢吾は目を細めて言った。「いやらしくて、いい顔だ。加虐心をそそられて、めちゃくちゃにしたくなる」

  • 血と束縛と   第21話(6)

     賢吾の指は休みなく動き、和彦の内奥の入り口を解すように擦り始める。唾液を施されながら刺激されているうちに、柔らかくなりかけた肉をこじ開けるようにして、指が内奥に侵入してきた。「あぁっ――」 自分でもわかるほど必死に、賢吾の指を締め付ける。物欲しげな内奥の蠢動を楽しんでいるのか、賢吾の指が緩やかに出し入れされ、襞と粘膜を軽く擦り上げられる。和彦は息を喘がせながら敷布団の上で身を捩り、そのたびに浴衣がはだけていく。「こっちの肉も美味そうだ」 低い声でそう言って、賢吾が胸元に顔を伏せる。触れられないまま硬く凝った胸の突起をいきなり口腔に含まれ、きつく吸い上げられた。「んうっ」 はしたなく濡れた音を立てて突起を愛撫しながら、賢吾は執拗に内奥を指でまさぐる。その指の動きに合わせて、和彦も声を抑えられなくなっていた。 爪先を突っ張らせ、腰をもじつかせながら、背を反らし上げ、賢吾から与えられる快感を味わう。そんな和彦の様子を、賢吾は射抜くほど強い眼差しで見つめてくる。「……気持ちいいか、先生?」 鼓膜に刻みつけるように囁かれ、和彦は頷く。寄せられた唇を甘えるように吸い、すぐに濃厚に舌を絡ませ合う。 内奥から指が引き抜かれ、熱く逞しい欲望が待ちかねていたように押し当てられた。性急に内奥を押し広げられる苦痛すら、大蛇と繋がっていく精神的愉悦の前では些細なことだった。「あっ、あっ、頼、む――、ゆっくり、してくれ……」 押し入ってくる欲望の感触をじっくりと味わいたくて、和彦はつい恥知らずな頼みを口にする。興奮したのか、内奥で賢吾のものが力強く脈打ち、一際大きくなったようだった。和彦は上擦った声を上げ、腰を揺すって反応してしまう。 病み上がりであることなど関係ない。求められて、和彦の体は悦んでいた。 和彦の頼みを聞き入れる気はないらしく、両足をしっかりと抱え上げた賢吾は大胆に腰を使い、内奥深くを犯し始める。突き上げられるたびに和彦は身を震わせ、声を上げ、反り返った欲望の先端から透明なしずくを垂らす。「本当に、いやらしくて、いいオンナだ…

  • 血と束縛と   第21話(5)

     何分か前まで、畳の上に転がって雑誌を読みながら、思い出したように和彦に話しかけていた千尋だが、すっかり寝入っているようだ。 どうせ昼寝をするなら、自分の部屋に戻ればいいのにと、和彦は小さく苦笑を洩らす。千尋としては、和彦が退屈しないよう、つき合っているつもりなのだろう。 呉服屋から戻ってすぐに、賢吾が見ている前で熱を測らされ、微熱が出ていることがわかった。普段の和彦であれば気づきもせずに動き回っている程度の熱だが、さすがに今は無茶できないと、こうして休んでいるというわけだ。 和彦は姿勢を戻し、再び天井を見上げる。 千尋の寝息を聞きながら思うのは、長嶺の本宅で自分は大事にされているということだ。クリニック経営という役目を負い、物騒であったり、訳ありの男たちを結びつけてもいる和彦に何かあったら面倒なのだと、捻くれた考え方もあるだろうが、決してそれだけではない。 間違いなく、長嶺の男たちは和彦を大事にしてくれていた。そして、長嶺と関わりを持つ男たちも――。 甘い眩暈に襲われて、反射的にきつく目を閉じた瞬間、障子が開く音がした。ゆっくりと目を開くと、真上から賢吾に顔を覗き込まれる。 不思議でもなんでもなく、和彦が布団を敷いて横になっているのは賢吾の部屋なのだ。 傍らに胡坐をかいて座り込んだ賢吾は、何も言わず和彦の顔を見つめてくる。「……別に、側にいてもらわなくても大丈夫だ」 向けられる視線の圧力に耐えかねて、和彦は口を開く。賢吾は口元を緩めながら、千尋をちらりと見た。「千尋は側に置いて、俺だけ追い払うのか?」「甘ったれの子犬は、側でおとなしくしてくれているからな。大蛇に側にいられると、気が休まらない」 和彦の邪険な物言いに対して、もちろん賢吾は機嫌を損ねたりしない。「大蛇を怖がるような可愛いタマじゃねーだろ、先生は」 そう言って和彦の頬を手荒く撫でてくる。「――体はつらくないか?」「熱も大したことはないし、つらくもない。本当は、こうして布団に寝ているのも大げさなぐらいなんだ」「本当に?」 さりげなく賢吾に念を押され

  • 血と束縛と   第21話(4)

     複数の男たちとの奔放とも言える関係を、三田村は受け止めてくれている。だが、総和会会長という肩書きを持つ守光との特殊な関係だけは、奇妙な言い方だが、三田村に受け止めてもらいたくなかった。従順な〈犬〉らしく無表情で沈黙され、和彦は何も説明できなかったのだ。 和彦自身、自分のこの複雑な心理をどう表現していいのかわからない。とにかく、目の前にいない守光と話しながら、三田村と同じ部屋にいることが、居たたまれなかった。「――どの男のことを考えている」 唐突に賢吾に話しかけられ、和彦は激しく動揺する。そんな和彦の反応を、大蛇が潜んでいる目が冷静に見つめていた。「誰、も……」「そこで、俺のことだと言わないあたりが、先生らしいな」「……ぼくに、そんな可愛げのあるウソが言えるはずないだろ」「先生の場合、憎まれ口すら可愛げがあるから、大丈夫じゃないか」 ようやく平静を取り戻した和彦は、苦々しく唇を歪める。「そんなこと言うのは、あんたぐらいだ」「俺ほど、先生に憎まれ口を叩かれている人間はいないだろうからな。俺にそんな口を聞けるのは、今じゃもう、千尋か先生ぐらいしかいないから、貴重だ」 賢吾の口調には、微妙なほろ苦さと優しさが入り混じっているように聞こえた。 なんと言えばいいかわからず和彦が戸惑うと、寸前の会話など忘れたように賢吾が片手を伸ばし、頬や首筋に触れてきた。「少し熱い。熱がぶり返してないか?」 自覚がなかった和彦は、慌てて自分の額に触れる。「いや、そんなはずは……」「自分が高熱を出しているかどうか、へたり込むまで気づかなかった先生が言っても、説得力がない」 言外に頼りないと言われているようで、ムッとした和彦はすかさず反撃した。「ぼくは、内科は専門外だ」「医者じゃない人間でも、自分が体調が悪いかどうかぐらい、わかるだろ。先生は、自分のことに無頓着なだけだ。いや……、不精というべきか?」「……好きに言って

  • 血と束縛と   第21話(3)

     いまさら、ともいうべきことを考え込んでいると、ふと顔を上げた賢吾がこちらを見る。一瞬何かを探るような鋭い目つきとなったが、すぐに表情を和らげた。「先生、せっかく呉服屋に来てるんだ。着物を着てみるか?」 即座に和彦の頭に浮かんだのは、千尋の母親のものだったという長襦袢に袖を通したときのことだ。その姿で賢吾と及んだ行為が鮮明に蘇り、密かにうろたえる。 口ごもる和彦に対して、賢吾は容赦ない。「その衝立の向こうで着付けてもらえ。しっかり見ておけよ。近いうちに、先生が自分で着ることになるからな」 ここまで言われて、拒むことは不可能だった。** 着物の出来上がりは一か月後で、ちょうど春らしくなってくる頃だ。抜け目ない賢吾らしく、和彦の誕生日プレゼントに何を贈るか、早いうちから計画を立てていたのだろう。賢吾と、呉服屋の主人が交わしている会話を聞いていれば、それぐらい推測できる。 ふっと息を吐き出した和彦に、正面に腰掛けた賢吾が話しかけてきた。「――疲れたか、先生」 和彦は目を丸くしてから、首を横に振る。向き合って座り、さりげなく言葉をかけられただけなのに、知らず知らずのうちに頬の辺りが熱くなってくる。これが二人きりであればまったく平気なのだが、そうではない。 カップに口をつけつつ和彦は、視線を周囲に向ける。店に入ったときはいくつか空いていたテーブルも、あっという間に埋まり、すでに満席だ。皆それぞれ自分たちの時間を過ごしているが、やはり会話の声はかなり抑え気味になる。 なんといっても和彦の正面に座っているのは、この場にいる誰よりも物騒な男なのだ。存在感だけでも、嫌になるほど悪目立ちしている。さきほどから人に見られているようで、賢吾の些細な言動に過剰に反応してしまう。 昼間のコーヒーショップで、ヤクザの組長とのんびりコーヒーを飲むというのも、なんだか妙な感じだ。こういうことは初めてではないが、頻繁でもない。 賢吾の立場では、目についた場所に気軽に立ち寄るだけで、危険に遭遇する可能性が高くなる。それを承知で、呉服屋の帰りにこうして寄り道をしてくれた理由は、一つしか思い当たらない。

  • 血と束縛と   第3話(37)

     和彦自身がそうだから、わかっている。だが、それでも――。  粗末に扱われるぐらいなら、永遠に続くものではないとしても、やはり大事にされるほうがいい。  この考えが、いつか和彦自身を傷つけることになるとしても。  賢吾にきつく抱き締められ、千尋には甘えられるまま抱き締めてやり、長い別れの挨拶を終える。  どうせ明日には、どちらかとまた顔を合わせるのだが。** 「――さっきのやり取り、どう思った?」  対向車線を走る車の流れをぼんやりと眺めていた和彦だが、ふと思い立って三田村に問いかける。運転に集中

    last updateLast Updated : 2026-03-19
  • 血と束縛と   第4話(31)

    「――お前は、俺たちのオンナだ」  和彦の唇を何度も啄ばみながら賢吾に囁かれる。背後から緩やかに内奥を突き上げてくるのは、衰えを知らないほど滾った千尋の欲望だ。何度となく押し開けられ、擦り上げられているため内奥は痺れたようになっているが、それでも愛されると、応えようとして懸命に欲望を締め付けてしまう。  布団に両膝をついた姿勢で小さく喘いだ和彦は、座っている賢吾の肩にすがりつく。賢吾の片手は、さきほどから和彦のものを巧みに扱き続けていた。 「そう言われるたびに、先生は傲然と顔を上げろ。性質の悪いヤクザ二人に、これ以上なく愛されて、大事にされている色男の顔を、

    last updateLast Updated : 2026-03-20
  • 血と束縛と   第4話(26)

    ** ヤクザの組長の本宅で寛ぐというのも、変な状況だった。  風呂イスに腰掛けた和彦は無意識に顔をしかめつつ、石けんを泡立てる。  昼間、長嶺の本宅に着いてから、特に何かさせられるわけでもなく、本当にのんびりと過ごしている。広い家のあちこちに残っている、過去の抗争の痕跡を説明してもらったときは、さすがに苦笑してしまったが、それ以外では非常に快適だ。  顔を合わせる組員たちも、和彦に対して露骨に感情を表すこともなく、自然に接してくれる。それが賢吾や千尋を立てるための気遣いだとしても、少なくとも反発されたり嫌悪されるより、よほどい

    last updateLast Updated : 2026-03-19
  • 血と束縛と   第4話(28)

    「――ここが、お前がこの家で寝泊まりするときに使う部屋だ」  ある部屋の前で立ち止まり賢吾が言う。障子を開けると、ごく普通の和室の客間には二組の布団が並べて敷かれていた。その布団の上に、千尋があぐらをかいて座っている。  突然、部屋にやってきた和彦と賢吾を見ても、驚いた素振りも見せないどころか、千尋は笑みをこぼした。 「待ってたよ、先生」  障子を閉めた賢吾の手が肩にかかる。  これから何が起こるのか察した和彦が感じたのは、不安でも恐怖でもなく、身震いしたくなるような興奮だった。** 背骨の

    last updateLast Updated : 2026-03-19
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