INICIAR SESIÓN賢吾の指は休みなく動き、和彦の内奥の入り口を解すように擦り始める。唾液を施されながら刺激されているうちに、柔らかくなりかけた肉をこじ開けるようにして、指が内奥に侵入してきた。
「あぁっ――」 自分でもわかるほど必死に、賢吾の指を締め付ける。物欲しげな内奥の蠢動を楽しんでいるのか、賢吾の指が緩やかに出し入れされ、襞と粘膜を軽く擦り上げられる。和彦は息を喘がせながら敷布団の上で身を捩り、そのたびに浴衣がはだけていく。「こっちの肉も美味そうだ」 低い声でそう言って、賢吾が胸元に顔を伏せる。触れられないまま硬く凝った胸の突起をいきなり口腔に含まれ、きつく吸い上げられた。「んうっ」 はしたなく濡れた音を立てて突起を愛撫しながら、賢吾は執拗に内奥を指でまさぐる。その指の動きに合わせて、和彦も声を抑えられなくなっていた。 爪先を突っ張らせ、腰をもじつかせながら、背を反らし上げ、賢吾から与えられる快感を味わう。そんな和彦の様子を、賢吾は射抜くほど強い眼差しで見つめてくる。「…&helli賢吾の指は休みなく動き、和彦の内奥の入り口を解すように擦り始める。唾液を施されながら刺激されているうちに、柔らかくなりかけた肉をこじ開けるようにして、指が内奥に侵入してきた。「あぁっ――」 自分でもわかるほど必死に、賢吾の指を締め付ける。物欲しげな内奥の蠢動を楽しんでいるのか、賢吾の指が緩やかに出し入れされ、襞と粘膜を軽く擦り上げられる。和彦は息を喘がせながら敷布団の上で身を捩り、そのたびに浴衣がはだけていく。「こっちの肉も美味そうだ」 低い声でそう言って、賢吾が胸元に顔を伏せる。触れられないまま硬く凝った胸の突起をいきなり口腔に含まれ、きつく吸い上げられた。「んうっ」 はしたなく濡れた音を立てて突起を愛撫しながら、賢吾は執拗に内奥を指でまさぐる。その指の動きに合わせて、和彦も声を抑えられなくなっていた。 爪先を突っ張らせ、腰をもじつかせながら、背を反らし上げ、賢吾から与えられる快感を味わう。そんな和彦の様子を、賢吾は射抜くほど強い眼差しで見つめてくる。「……気持ちいいか、先生?」 鼓膜に刻みつけるように囁かれ、和彦は頷く。寄せられた唇を甘えるように吸い、すぐに濃厚に舌を絡ませ合う。 内奥から指が引き抜かれ、熱く逞しい欲望が待ちかねていたように押し当てられた。性急に内奥を押し広げられる苦痛すら、大蛇と繋がっていく精神的愉悦の前では些細なことだった。「あっ、あっ、頼、む――、ゆっくり、してくれ……」 押し入ってくる欲望の感触をじっくりと味わいたくて、和彦はつい恥知らずな頼みを口にする。興奮したのか、内奥で賢吾のものが力強く脈打ち、一際大きくなったようだった。和彦は上擦った声を上げ、腰を揺すって反応してしまう。 病み上がりであることなど関係ない。求められて、和彦の体は悦んでいた。 和彦の頼みを聞き入れる気はないらしく、両足をしっかりと抱え上げた賢吾は大胆に腰を使い、内奥深くを犯し始める。突き上げられるたびに和彦は身を震わせ、声を上げ、反り返った欲望の先端から透明なしずくを垂らす。「本当に、いやらしくて、いいオンナだ…
何分か前まで、畳の上に転がって雑誌を読みながら、思い出したように和彦に話しかけていた千尋だが、すっかり寝入っているようだ。 どうせ昼寝をするなら、自分の部屋に戻ればいいのにと、和彦は小さく苦笑を洩らす。千尋としては、和彦が退屈しないよう、つき合っているつもりなのだろう。 呉服屋から戻ってすぐに、賢吾が見ている前で熱を測らされ、微熱が出ていることがわかった。普段の和彦であれば気づきもせずに動き回っている程度の熱だが、さすがに今は無茶できないと、こうして休んでいるというわけだ。 和彦は姿勢を戻し、再び天井を見上げる。 千尋の寝息を聞きながら思うのは、長嶺の本宅で自分は大事にされているということだ。クリニック経営という役目を負い、物騒であったり、訳ありの男たちを結びつけてもいる和彦に何かあったら面倒なのだと、捻くれた考え方もあるだろうが、決してそれだけではない。 間違いなく、長嶺の男たちは和彦を大事にしてくれていた。そして、長嶺と関わりを持つ男たちも――。 甘い眩暈に襲われて、反射的にきつく目を閉じた瞬間、障子が開く音がした。ゆっくりと目を開くと、真上から賢吾に顔を覗き込まれる。 不思議でもなんでもなく、和彦が布団を敷いて横になっているのは賢吾の部屋なのだ。 傍らに胡坐をかいて座り込んだ賢吾は、何も言わず和彦の顔を見つめてくる。「……別に、側にいてもらわなくても大丈夫だ」 向けられる視線の圧力に耐えかねて、和彦は口を開く。賢吾は口元を緩めながら、千尋をちらりと見た。「千尋は側に置いて、俺だけ追い払うのか?」「甘ったれの子犬は、側でおとなしくしてくれているからな。大蛇に側にいられると、気が休まらない」 和彦の邪険な物言いに対して、もちろん賢吾は機嫌を損ねたりしない。「大蛇を怖がるような可愛いタマじゃねーだろ、先生は」 そう言って和彦の頬を手荒く撫でてくる。「――体はつらくないか?」「熱も大したことはないし、つらくもない。本当は、こうして布団に寝ているのも大げさなぐらいなんだ」「本当に?」 さりげなく賢吾に念を押され
複数の男たちとの奔放とも言える関係を、三田村は受け止めてくれている。だが、総和会会長という肩書きを持つ守光との特殊な関係だけは、奇妙な言い方だが、三田村に受け止めてもらいたくなかった。従順な〈犬〉らしく無表情で沈黙され、和彦は何も説明できなかったのだ。 和彦自身、自分のこの複雑な心理をどう表現していいのかわからない。とにかく、目の前にいない守光と話しながら、三田村と同じ部屋にいることが、居たたまれなかった。「――どの男のことを考えている」 唐突に賢吾に話しかけられ、和彦は激しく動揺する。そんな和彦の反応を、大蛇が潜んでいる目が冷静に見つめていた。「誰、も……」「そこで、俺のことだと言わないあたりが、先生らしいな」「……ぼくに、そんな可愛げのあるウソが言えるはずないだろ」「先生の場合、憎まれ口すら可愛げがあるから、大丈夫じゃないか」 ようやく平静を取り戻した和彦は、苦々しく唇を歪める。「そんなこと言うのは、あんたぐらいだ」「俺ほど、先生に憎まれ口を叩かれている人間はいないだろうからな。俺にそんな口を聞けるのは、今じゃもう、千尋か先生ぐらいしかいないから、貴重だ」 賢吾の口調には、微妙なほろ苦さと優しさが入り混じっているように聞こえた。 なんと言えばいいかわからず和彦が戸惑うと、寸前の会話など忘れたように賢吾が片手を伸ばし、頬や首筋に触れてきた。「少し熱い。熱がぶり返してないか?」 自覚がなかった和彦は、慌てて自分の額に触れる。「いや、そんなはずは……」「自分が高熱を出しているかどうか、へたり込むまで気づかなかった先生が言っても、説得力がない」 言外に頼りないと言われているようで、ムッとした和彦はすかさず反撃した。「ぼくは、内科は専門外だ」「医者じゃない人間でも、自分が体調が悪いかどうかぐらい、わかるだろ。先生は、自分のことに無頓着なだけだ。いや……、不精というべきか?」「……好きに言って
いまさら、ともいうべきことを考え込んでいると、ふと顔を上げた賢吾がこちらを見る。一瞬何かを探るような鋭い目つきとなったが、すぐに表情を和らげた。「先生、せっかく呉服屋に来てるんだ。着物を着てみるか?」 即座に和彦の頭に浮かんだのは、千尋の母親のものだったという長襦袢に袖を通したときのことだ。その姿で賢吾と及んだ行為が鮮明に蘇り、密かにうろたえる。 口ごもる和彦に対して、賢吾は容赦ない。「その衝立の向こうで着付けてもらえ。しっかり見ておけよ。近いうちに、先生が自分で着ることになるからな」 ここまで言われて、拒むことは不可能だった。** 着物の出来上がりは一か月後で、ちょうど春らしくなってくる頃だ。抜け目ない賢吾らしく、和彦の誕生日プレゼントに何を贈るか、早いうちから計画を立てていたのだろう。賢吾と、呉服屋の主人が交わしている会話を聞いていれば、それぐらい推測できる。 ふっと息を吐き出した和彦に、正面に腰掛けた賢吾が話しかけてきた。「――疲れたか、先生」 和彦は目を丸くしてから、首を横に振る。向き合って座り、さりげなく言葉をかけられただけなのに、知らず知らずのうちに頬の辺りが熱くなってくる。これが二人きりであればまったく平気なのだが、そうではない。 カップに口をつけつつ和彦は、視線を周囲に向ける。店に入ったときはいくつか空いていたテーブルも、あっという間に埋まり、すでに満席だ。皆それぞれ自分たちの時間を過ごしているが、やはり会話の声はかなり抑え気味になる。 なんといっても和彦の正面に座っているのは、この場にいる誰よりも物騒な男なのだ。存在感だけでも、嫌になるほど悪目立ちしている。さきほどから人に見られているようで、賢吾の些細な言動に過剰に反応してしまう。 昼間のコーヒーショップで、ヤクザの組長とのんびりコーヒーを飲むというのも、なんだか妙な感じだ。こういうことは初めてではないが、頻繁でもない。 賢吾の立場では、目についた場所に気軽に立ち寄るだけで、危険に遭遇する可能性が高くなる。それを承知で、呉服屋の帰りにこうして寄り道をしてくれた理由は、一つしか思い当たらない。
「――あそこだ、先生」 あそこ、と言われても和彦にはわからない。車がすれ違うのもやっとの通りの左右には、住宅や商店が並んでいるのだ。 車は狭い駐車場に入り、降りた和彦は辺りを見回す。古い建物が多いなと思っていると、賢吾に呼ばれてあとをついていく。どうやら護衛の組員は車に待機させておくようだ。 和彦が物言いたげな眼差しを向けると、賢吾は軽くあごをしゃくった。「店は目の前だ。それに、これから優雅な気分を味わおうってのに、護衛をつけてたら不粋だろ」「……優雅?」「いい品を揃えてある店だからな。目が肥えるぞ」 そう言って賢吾が、駐車場前の店の扉を開ける。〈準備中〉の札が表になっているのもお構いなしだ。 電気がついている店の中を覗き込んだ和彦は目を見開くと同時に、かつて賢吾に言われた言葉を思い出した。「春には、着物の着付けができるようになってもらうって言ってたが、もしかして――……」「着付けをするためには、まずは肝心の着物がないとな」 賢吾に肩を押され、店に足を踏み入れる。さほど広くない店内には、数え切れないほどの反物が並んでいた。艶やかなものから、渋い色合いのものまで、さまざまだ。「ここは、長嶺の人間がずっと贔屓にしている呉服屋だ。今日は昼まで、貸切にさせてもらった。人目を気にせず、じっくりと選びたかったからな」 促されるまま靴を脱ぎ、畳敷きのスペースに上がる。物珍しさはあるが、高価そうな反物に迂闊に近づけず離れて眺めていると、着物姿の初老の男性が奥から出てきて、親しげに賢吾と言葉を交わす。風情や会話の内容からして、この呉服屋の主人のようだ。 会釈した和彦を、その主人が頭の先から爪先までじっくりと見つめたかと思うと、反物を選び始める。「すごい色男さんだとうかがって、こちらも気合いを入れて、反物を仕入れておきましたよ。賢吾さんがお好きそうな色目のものから、若い方向きのちょっと粋なデザインまで」「おう。これからちょくちょく世話になると思うから、よさそうなものがあったら取っておいてくれ。こうして、その色男も連れてきたしな」
ダイニングでお茶を飲む和彦を見るなり、賢吾は口元に薄い笑みを浮かべた。何か企んでいると思わせるには十分な表情で、和彦は露骨に警戒して見せた。「すっかり顔色がよくなったな」 和彦の隣のイスに腰掛けた賢吾が、テーブルの上の食器にちらりと視線を向けたあと、身を乗り出すようにして顔を覗き込んでくる。湯のみを置いた和彦は小さく頷いた。「熱さえ下がったら、あとは楽になった。咳も出ないし、食欲も戻ったし。……熱のおかげで、ゆっくり休めた」 ちょうど今は、遅めの朝食をとり終えたところだ。土曜日は一日中布団の中で過ごして、お粥とヨーグルトばかり胃に流し込んでいた。日曜日になってようやく動き回れるようになり、食事も通常のものに戻してもらったが、胃腸も問題ないようだ。「そりゃよかった。ただ、寝込んだときぐらい、もう少しわがままを言ってもらいたかったがな」「あんたは何もしてないだろ。面倒をみてくれたのは、ここの組員たちだ」「なんだ。俺に看病してほしかったのか?」 ヌケヌケと言う賢吾を、和彦は横目で睨みつける。そんな二人のやり取りがおかしいのか、空いた食器を片付ける組員は笑っている。「……とにかく、体調はもう大丈夫だ」「本当か? 遠慮はするなよ」 やけに強く念を押され、気圧されながらも和彦はしっかりと頷く。「遠慮はしてない。本当に元気になった」 昼前にはマンションに戻りたい、と言葉を続けたかったが、突然賢吾が片手を伸ばしてきたため、そちらに気を取られる。何事かと身構えると、大きな手が頬に押し当てられた。「確かに……熱は下がったみたいだ」「そう言ってる――」「だったらこれから、出かけられるな」 目を丸くする和彦に対して、畳み掛けるように賢吾は続ける。「出かけると言っても、ただ車で移動して、行った先で突っ立ってりゃいい。病み上がりの体でも、そう負担にならないはずだ」「……行くって、どこに…&helli
薄ら笑いを浮かべた表情から剣呑としたものを感じるが、和彦が知っているヤクザの空気とはどこか違う。この男は、違う意味で危険だ。少なくともヤクザは、人目がある場所で揉め事を起こす愚かさを知っているが、目の前の男は、人目をものともしていない。 「彼を離してください」 緊張のためわずかに上擦った声が出る。それでも和彦は、男から視線を逸らさない。 「何か気に障ったことをしたというなら、保護者のぼくが頭を下げます。だから、手荒なことはしないでください」 「先生、俺何もっ――」 「黙ってろ」 和彦は、千尋の喉元から男の手を退けようとして
本当は部屋でおとなしく閉じこもっているのが無難なのだろうが、そうなると、和彦の神経はあっという間に滅入ってしまい、ベッドからすら出られなくなる。寝込んでもいいが、立ち直るときの大変さを、もう味わいたくはなかった。 結局、賢吾のリアクションを待つしかない自分の状況に、歯がゆさを覚える正常な感覚すら失ってしまいそうだ。 大きく息を吐き出したとき、和彦が使っているランニングマシーンの傍らに誰かが立つ。反射的にそちらを見て、目を見開いた和彦は慌ててマシーンを止めた。 「どうして……」 和彦が声を洩らすと、タオルを首からかけた中嶋はちらりと笑った。
** その後、中嶋は他のテーブルに挨拶をしに行き、和彦と秦の二人が残される。 和彦の相手をしてくれとでも言われているのか、和彦が使った皿を片付けた秦は、デザートとカクテルを運んできてくれた。さすがに申し訳なくなり、和彦が控えめに視線を向けると、艶やかと表現できる笑みを秦は返してきた。 「遠慮しないで楽しんでください。わたしがあれこれと世話を焼くのは、半ば職業病みたいなものですから。じっと座っているのが落ち着かない」 「でも……、秦さんも、楽しまれていたのに……」 和彦は、さきほどまで秦がついたテーブルをちらりと見
買い物につき合ってほしいという千尋の誘いに応じたのは、気分転換がしたかったからだ。そのため、容赦ない陽射しの下を連れ回されることも覚悟したのだが、少し前にオープンした複合施設内のショップ巡りが目的らしい。 大きな施設の中を歩き回るのは、なかなかの運動量だ。それに、さまざまなショップを覗くのは、買い物好きの和彦としては純粋に楽しい。 そうしているときだけは、ヤクザがいる日常から距離を置いているような錯覚を覚える。本当は、和彦の隣をはしゃぎながら歩いている千尋自身が禍々しい存在だとも言えるが、何も知らなかった頃の感覚に戻るのは容易い。今のような会話さえ交わさなければ