Beranda / BL / 血と束縛と / 第7話(19)

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第7話(19)

Penulis: 北川とも
last update Tanggal publikasi: 2025-11-29 11:00:55

 電卓を叩いた和彦は、表示された数字を見て、一声低く唸る。

 クリニックに入れる医療機器・備品は決めたのだが、医療機器に関しては、どの専門商社と取引するかという点で、頭を悩ませていた。いままで医療機器の価格など、聞いたところで他人事だったのだが、いざ自分が導入するとなると、やはり臆してしまう。例え、ヤクザの金を使うにしても。

 やはり商社間の入札で、今後のメンテナンスまで含めた価格を決めてしまうほうが、結果として安くつくかもしれない。

 コンサルタントに勧められながら、大まかな金額を計算してはためらっていた和彦だが、とうとう覚悟を決める。

 入札の話を進めてもらうよう連絡するため、子機に手を伸ばそうとしたとき、突然、電話が鳴った。驚くと同時に、反射的に子機を取り上げる。

「もしもし――」

 電話は、長嶺組の組員からだった。

『先生、至急、診てもらいたい人間がいます』

 前置きなしの言葉に、和彦の全身にビリッと緊張感が駆け抜ける。今
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  • 血と束縛と   第27話(12)

     淫らに下品に蠢く舌に粘膜を舐め回され、歯列を擦られながら、唾液を流し込まれる。逃げ惑う和彦の舌は搦め取られてしまい、引き出されて、痛いほど吸われてから、歯を立てられる。その頃には和彦の体は熱くなっていた。 鷹津は、和彦の変化に敏感だった。突然、甘やかすように上唇と下唇を交互に吸い、それを何回も繰り返されながら片腕できつく抱き寄せられ、和彦もぎこちなく鷹津の唇を吸い返す。まるで互いを欲しているように唇を交互に吸い、その合間に舌先を触れ合わせ、擦りつける。欲望の高まりとともに、緩やかに絡めていた。 鷹津の舌を、口腔に迎え入れる。和彦は柔らかく舌を吸い、そっと歯を立ててやる。興奮したのか、獣のように鷹津がブルッと身震いした。 鷹津の両手が体を這い回り、ベルトを緩められる。スラックスからワイシャツの裾を引っ張り出されていた。ここでようやく、唇が離される。鷹津の荒い息遣いが唇に触れ、ゾクリとするような強烈な疼きが和彦の背筋を駆け抜けていた。「佐伯家を探るのに、ヤクザどもは使いたくないんだろ。いいぜ、俺が動いてやる。ツテを最大限に利用して、お前のために情報を取ってきてやる」「……その、恩着せがましい言い方……」「俺は、よく働く番犬だろ?」 実家の件で賢吾に頼りたくないのは、ある種の権力を持つ家同士が接触を持ったとき、何かとてつもない不幸を生み出すのではないかと危惧しているからだ。それに、社会的害悪という立場にある長嶺組の名を、表沙汰にしたくない。陰では力を持つ存在も、陽の下に晒されれば、圧倒的に不利だ。 その点、過去の所業はともかく、刑事の肩書きを持っている鷹津は、使いやすい。「――俺を利用してやろうって、企んでるだろ」 和彦の顔を覗き込み、鷹津がニヤリと笑う。「ああ……」「いいぜ。利用されてやる。俺はお前から餌をもらう、番犬だからな」 ここで鷹津に乱暴に後ろ髪を掴まれて引っ張られた。そのままソファの上に押し倒され、乱暴にスラックスと下着を引き下ろされそうになり、和彦は慌てて鷹津の手を止めた。殺気立った目で睨みつけられたが、猛獣の調教

  • 血と束縛と   第27話(11)

     鷹津は油断ならない。長嶺組と手を組んでいる一方で、しっかりと動向は探っているのだ。 一瞬手を止めかけた和彦だが、鷹津に心の内を悟られたくなくて、何事もないふりをする。「どうしてそんなことが気になる。ぼくが、長嶺組の都合に振り回されるのは、珍しいことじゃない」「朝、お前が慌てた様子で電話をかけてきたから、何事かと思うだろ。いままで、少なくとも携帯に連絡してくるなと言ったことはなかったしな」 話す義理はないと突っぱねたかったが、それでは鷹津が引かないだろうと予測できた。和彦は手を動かしながら簡潔に答える。「……連休の間、三田村と一緒だった」 鷹津は軽く鼻を鳴らしたものの、それ以上は何も言わなかった。おかげで、処置室の静けさを意識してしまい、和彦も声を発することができなくなる。 抜糸を終え、傷跡を覆うようにテープを貼ると、鷹津が慎重に手を動かす。物言いたげな視線を向けられたので、立ち上がった和彦は片付けをしながら説明する。「縫い跡を固定するためだ。あんた絶対、抜糸してすぐに無茶をするだろ。特に手なんだから、注意しないと」「お優しいことで。――お前、ヤクザなんかと関わらなきゃ、まともな医者をやってたんだろうな」「余計なお世話だ。やることはやったんだから、さっさと出て行ってくれ。あんたが来るということで、長嶺組の人間にずっと駐車場で待ってもらっているんだ。ぼくも早く帰りたい――」 ここでふとあることが脳裏を過り、反射的に背後を振り返る。ブルゾンを掴んだ鷹津が、軽く首を傾げた。「どうした?」「いや……」 一度は口ごもった和彦だが、前に鷹津が言っていたことが気になり、それが今の自分にとっては大事だということもあって、切り出す。「――前にあんた、ぼくの兄の国政出馬の話を、昔馴染みの新聞記者から聞いたと言ってたな」「それがどうした」「まだ、ぼくの実家の情報を集めているのか?」 怪訝そうな顔をした鷹津だが、和彦の真剣な様子から察するものがあったらしい。次の瞬間、ニヤリと笑った。「何かあったみたいだな

  • 血と束縛と   第27話(10)

    「現にぼくがそうだった。大学に入ってからは、実家に顔を出す必要もなくなったし、向こうからもそれを求められなかった。ごくたまに、大事な行事には出席して、佐伯家の一員として振る舞っていたぐらいだ。それ以外では、連絡すら取り合っていなかった。……兄さんの出馬の件で、事情が変わったんだ。それがなければ、ぼくがどんな相手と寝ていようが、知らん顔をしていたはずだ」 話すべきことを話し終え、ここまで張り詰めていたものがふっと切れる。和彦はしばらく黙り込むが、その間、賢吾もまた口を開かなかった。和彦に対して助言どころか、命令することすら可能なはずだが、そうしないということは、こちらが出す答えを待っているのだろう。 自分はどうすべきなのか、まだ結論が出せない和彦は、心に溜まる澱を取り留めない言葉として吐き出した。「……あんたたちと知り合ってなかったら、ぼくは今ごろ、どうしていただろうな。とっくに佐伯家と縁を切っていたか――いや、そんなことはしないな。抗えない力に逆らわず、子供の頃から変わらない、無害な存在として家族とつき合っていたはずだ。そして、兄さんにいいように使われて……」 自分で言って、和彦は自己嫌悪に陥る。物騒な男たちに囲まれて生活している、今の信じられないような状況にあっても、自分と佐伯家との関係は何一つ変わっていないと痛感したのだ。 和彦の気持ちを掬い上げるようなタイミングで、賢吾が切り出した。「先生は今、〈力〉を持っている。物騒で危険きわまりないが、先生を守るためにある力だ。そのうえで、自分がどうしたいか考えるといい」「ぼくは――……」「先生のためなら、どんな汚い仕事でもしてやる」 そう言った賢吾の表情は穏やかだった。だからこそ、本心を読み取ることはできない。和彦を怖がらせないための配慮なのかもしれないが、それすら知ることはできない。 このとき和彦は、自分はすっかりこの物騒な世界に染まってしまったのだろうかと、つい考えていた。 賢吾の怖い台詞を聞いて、胸の奥がじわりと熱くなったからだ。**

  • 血と束縛と   第27話(9)

    「落ち着いている。――兄さんのことを考えたくなくて、あんたに八つ当たりしているんだ」「八つ当たりどころか、先生には俺を責める真っ当な権利があると思うが」 本当にそうしようと思えば、いくら時間があっても足りない。心の中で応じた和彦は、賢吾を睨みつける。そんな和彦の視線を受け、平然とした顔で賢吾が問いかけてきた。「――家族が恋しくなったか?」 一瞬うろたえた和彦だが、すぐに首を横に振る。「それは……、ない。ぼくにとっての家族は、一緒にいて心安らげる存在じゃなかった。一人暮らしを始めたときは、ほっとしたぐらいだ」「先生がそう感じていることと、過剰なぐらい痛みを苦手にしていることは、関係あるのか? 誰だって痛い思いはしたくないだろうが、先生の場合は様子が違う」 確信を得ているような賢吾の口調だった。これまでの和彦の言動から、感じるものがあったのだろう。 これは佐伯家に対するささやかな報復だと思いながら、和彦は口を開いた。「……物心ついた頃から、ぼくは痛みを与えられていた」「虐待か?」 わずかに眉をひそめた和彦は曖昧に頭を振る。「そういうものとは違う……とぼく自身は思っていた。兄さんも、弟を虐待しているなんて意識はなかっただろうな。そうする権利が自分にはあると、信じていたんだ。多分、今も」「その口ぶりだと、先生を痛めつけていたのは、兄貴だけなのか」「親には手を上げられたことはない。そんなことをするほど、ぼくに興味がなかったんだ」 腕組みをした賢吾が、じっと和彦の顔を見つめてくる。和彦は静かに見つめ返していた。賢吾を見つめながら、その内に潜んでいる大蛇の姿を捉えようとしていたのかもしれない。反対に賢吾のほうは、和彦の内に何かを感じたようだった。「――……前にも似たようなことを言ったはずだが、先生は身の内に、冷たい体温の生き物を飼っているようだ。誰も捕まえられない、触れさせることすらしない、大蛇よりも硬い鱗で体を守りながら、とんでもなく臆病で神経質な、そんな生き物だ」

  • 血と束縛と   第27話(8)

    ** 憔悴しきった自分の姿を取り繕う余裕すら、和彦にはなかった。そんな和彦を、座卓についた賢吾がじっと見つめてくる。「――……千尋からの電話で聞いてはいたが、ひどい顔色だ、先生。できることなら、さっさと休ませてやりたいが、その前に、何があったのかを知っておかねーとな」 わかっていると、和彦は浅く頷く。話し始めようと一度は唇を開いたが、震えを帯びた吐息が洩れ、声が出なかった。 賢吾は急かすことなく、ただ見つめてくる。過度の優しさも気遣いもうかがわせることのない、だからこそこちらに精神的負担を与えてこない、不思議な眼差しだ。マンションから本宅に向かう車中、動揺して震える和彦の肩を抱きながら、千尋も同じような眼差しを向けてくれたのだ。 和彦はぎこちなく深呼吸をしてから、やっと言葉を発した。「あんたが、里見さんとの連絡用に持たせてくれている携帯に、兄さんから電話がかかってきた。里見さんの携帯を盗み見して、そこにあった怪しい番号にかけたら、ぼくが出たんだそうだ」「と、言われたか?」 揶揄するような賢吾の口調が気になり、ちらりと視線を上げる。賢吾は、口元に柔らかな微苦笑を浮かべていた。「……どういう意味だ」「震え上がるほど苦手にしている兄貴から言われたことを、すんなり信じるなんて、先生は人がいい」 数十秒近くかけて、賢吾の言葉を頭の中で反芻する。そして和彦は、あっ、と声を洩らした。目を見開き、賢吾を凝視する。「俺は悪党だから、まずはこう考えるんだ。先生の兄貴と、先生の初めての男が手を組んだんじゃないかってな。先生が信用した頃を見計らって――」「里見さんはそんなことはしないっ」 感情的に声を荒らげた和彦だが、次の瞬間には、自分が今誰と向き合い、話しているのかを思い出し、我に返る。 賢吾の口元にはすでにもう笑みはなかった。無表情となり、大蛇を潜ませた目でまっすぐこちらを見据えてくる。戦慄した和彦は、自分の失言を噛み締める。しかし賢吾は怒りや不快さを表には出さなかった。「いまだに信頼しているんだな、里見を。やっぱり

  • 血と束縛と   第27話(7)

    『それでもお前は、わたしの弟だ。これは、わたしにはどうしようもない。だったら、せいぜい利用させてもらう』 英俊が向けてくる冷たい悪意は、電話越しでもしっかりと伝わってくる。どれだけの言葉を費やそうが、気持ちは決して交わることはなく、ただ一方的に搦め取られそうになる。「ぼくに何ができる? 兄さんが言うとおり、おぞましい画像を撮られて、いつスキャンダル沙汰になってもおかしくない人間だ。そんなぼくが佐伯家にできることと言ったら、存在を隠すことだけだ」『そんなお前でも、利用価値はある。佐伯の血を引いているという一点でな』 ゾクリとするような感覚が、全身を駆け抜けた。 和彦は、〈血〉の怖さと重さを知っている。長嶺の男たちによって教えられたのだ。切り捨てることも、逃げ出すこともできないものであるということも。『父さんは、お前を外で自由にはさせていたが、手放す気は一切ないぞ。……わたしにとっては忌々しいがな』 不穏な空気を感じ取った――わけではないだろうが、なんの前触れもなく、書斎のドアが開いた。「あっ、先生、ここにいたんだ」 ピンと張り詰めた空気を壊すように、上半身裸の千尋が緊張感のない声を発する。即座には状況が呑み込めなかった和彦だが、対照的に、英俊の反応は早かった。『誰かいるのか?』 ハッと我に返った和彦は、慌てて千尋に駆け寄ると、片手で口を塞ぐ。大きく目を見開いた千尋が何か言おうとしたが、和彦の異変に気づいたのだろう。すぐに険しい表情となって目を眇めた。「……兄さんには関係ない」『若い声だったな。先生、と呼んでいたということは、患者か? お前がまだ医者をしているようだと里見さんは言っていたが、どうやら本当だったようだな』 このままでは英俊のペースに巻き込まれると思い、和彦は早口に告げた。「もうかけてこないでくれ。あなたと話すことは……ない」『ああ、電話はかけない。だが、お前はわたしと、直接会うことになる』「その気はない。悪いけど……」『お前が意

  • 血と束縛と   第15話(34)

    「あっ……、はあぁっ」「もっと感じたいなら、また裸にひん剥いてやろうか? それこそ、全身を舐め回してやるぜ。好きだろ、舐められるの」 そんなことを言いながら、鷹津の片手がワイシャツの下に入り込もうとする。和彦は懸命にその手を押し返した。「時間が、ないんだっ……。もう、ロビーに下りないと――」「組員なんて、待たせておけばいいだろ」「あんたと違って、こっちは予定がある」「……組長のオンナは、忙しいことだな」 和彦が睨みつけると

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-31
  • 血と束縛と   第15話(7)

     和彦が中嶋に抱く感情は、これまでになく複雑だ。いままでも、この青年に対してどう接すればいいのか戸惑っている部分はあったが、友情めいた感情もあった。だが今は、そこに生々しい――艶かしい感情も入り混じる。 兄の英俊と出会ったことで精神的に参ってしまい、ようやく立ち直ったところに、今日の内覧会も含めて、クリニック開業の準備に追われていた。和彦に、〈他人の恋路〉について考え込む余裕はなかった。 そう、中嶋は、秦に想われているのだ。それどころか、動物的で直情的な欲情を抱かれている。なのに中嶋は、何も知らない。 さらに事態を複雑にしているのは、和彦は中嶋と、キス

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-31
  • 血と束縛と   第14話(7)

     それでも今は、優しい錯覚に浸っていたい。 三田村に促され、サンドイッチを手に取る。和彦が眠っている間に、近くのファストフード店まで三田村が買いに行ってくれたものだ。具がたっぷりの大きなサンドイッチとスープは、和彦の普段の朝食としては十分すぎる量だ。「昼まで一緒にいられるんだろ?」 サンドイッチを頬張る合間に問いかけると、和彦を安心させるように三田村は目元を和らげる。「ああ。もうそんなに時間はないが、先生の行きたいところがあればつき合う」「別に今日、どうしても行きたいってところは……ないな。あんたこそ

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-30
  • 血と束縛と   第14話(33)

    「わたしの一風変わった出生と、捻くれた欲情について。わたしが元は日本人じゃないということは、長嶺組の組長と数人の幹部の方は知っていますが、あとは鷹津さんぐらいです。それと、先生。……ただ、わたしにとって大事な秘密は、欲情のほうです。この秘密だけは、先生が所有してください」 上品で端麗な美貌を持つ秦は、腹の内に倒錯した欲情を抱えている。その欲情を向けている相手は、中嶋だ。 何を考えているのか読めない男なりの冗談――というには、秦が和彦に施した愛撫は丹念で執拗だった。執念のようなものすら感じた。 秦のそんな一面を知って、果たして

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-30
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