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勇者と裏の住人

last update 公開日: 2025-11-24 16:39:46

 正論を突き付けられてモモも押し黙ってしまう。ヨーリィはちびちびとオレンジジュースを飲み続けるだけだ。

「アシノ殿はもう一度剣の鍛錬や魔法を学び直すつもりは無いのですか?」

 モモがそう言った瞬間、アシノは歯を食いしばり恐ろしい表情を作った。

「私が何もしなかったと思うかい? あの日から手が血まみれになるほど剣の鍛錬も、頭がおかしくなるほど魔法の勉強もしたさ」

 グラスを強くテーブルに置いて続けて言う。

「しかし、剣は素人以下、魔法は使おうとすると頭にモヤがかかったみたいになってどうする事もできない! お前にこの気持ちが分かるか!?」

 言われてモモは自分の思慮の浅さを後悔した。

「申し訳ありません! 今の私の発言は軽率でした」

 モモは立ち上がり、深々と頭を下げる。

「いや、私もちょっと気が立ってたよ、悪かった。座りなよ」

 そう促されてモモはまた一礼して椅子に座った。アシノは酒のおかわりを頼んだ。

「あ、もしかしていい手があるかもしれません」

 ムツヤは急に声を出した、皆の視線がムツヤに集中する。

「ビンのフタをスッポーンと飛ばす能力でも戦えるかもしれません!」

「なーに馬鹿なこ
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  • 裏庭が裏ダンジョンでした   絆 2

    「勇者アシノがみんなにご飯をごちそうしてくれるって!」「勇者アシノ様が炊き出しをしてくれるそうだ」「勇者アシノ様が街を救ってくださるらしいぞ!」 話に尾ひれが付いて孤児院には多くの街の住人が集まり、アシノは勝手に街を救う事にされてしまっていた。「うっわー、思った以上に人が来たわね」 まるで他人事のようにルーは言う。「どうすんだこれ、食材足りるのか?」「そんなもん、どさくさに紛れてムツヤっちに出してもらえば大丈夫よ!」 孤児院の前でまるで祭りのように炊き出しが始まる。外のコンロだけでは足りずに急遽あちこちで焚き火をして肉を炙った。「この肉おいしー!! ねぇ何の肉なの?」「イノシシの肉よ!! 取りたてだから美味しいのよ!!」 まさか自分たちが高級食材である翼竜の肉や、裏ダンジョンの魔物の肉を食べているとは誰ひとりとして思っていないだろう。 ムツヤは額に汗を流しながら肉をドンドン切り分ける。ヨーリィは涼しい顔をしてそれを住人に配った。 ユモトは大鍋を何個も使ってスープを作っている。山菜と豆と根菜のスープだ。「お嬢ちゃんのスープはうまいな、ウチの孫の嫁に来てくれんか?」「あ、あの、僕男なので……」 みんながワイワイと騒いで食事を楽しむ、それを見てルーは満足そうな顔をしていた。「ルー殿、皆さん笑顔で食べていますね」 モモが言うとうんうんとルーは頷いて言う。「やっぱりお腹がすくのって辛いからね、たくさん食べられるってのは幸せなことなのよ」 食事が終わる頃、そういえばとムツヤはカラフルなこんぺいとうを取り出した。 これは裏ダンジョンで取れたものだが、ただのこんぺいとうだ。「みんなー、ムツヤお兄ちゃんからおやつよー」 甘いものが好きな子供は喜んでムツヤのもとに群がっていく。「甘くておいしー!!」「おいしいね」 子供の笑顔にムツヤは心が満たされる感じがした。 街の住人に充分食べ物が行き渡った後にムツヤ達も食事を取った。その最中1人の男がムツヤ達に近づく。「勇者アシノ様とお連れの皆様、私はイタガの街の町長です。この度の施しに深く感謝します」「いいえ、大した事ではありませんよ」 アシノはそう言って軽く笑う。「ルーも勇者アシノ様と一緒に旅をするようになるなんて成長したな」「当然よ、町長さん」 ルーは胸を張って町長に言った。

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  • 裏庭が裏ダンジョンでした   翼竜討伐 3

     朝になりユモトは目が覚めた。テントを出ると空は快晴で、眩しい朝日が出迎えてくれた。「ムツヤさん、ヨーリィちゃん、起きて下さい」 ユモトが二人の肩をトントンと叩くと、二人共むくりと起き出した。「ふーんあー…… おはようございますユモトさん」「おはようございますユモトお姉ちゃん」「おはようございます、でもお姉ちゃんじゃないからね?」 いつもの様なやり取りをして3人はテントを出る。そして、ムツヤのカバンから食材を出して朝食の準備をした。 簡単な朝食ができる頃、ヨーリィは女性陣のテントへ3人を起こしに行く。 全員が揃い、心地よい朝日のもとで穏やかな朝食が始まる。「ウゴオオオオオオ

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   翼竜討伐 1

     ここは冒険者ギルドの闘技場、モモが試験でルーの召喚した精霊と戦った場所だ。人払いは済んでいるので今はムツヤ達しかいない。 訓練用の木刀を持ち、ムツヤは体を伸ばして戦いに備える。ギルドマスターのトウヨウは目を閉じて精神を集中していた。 モモとユモトは固唾を飲んで見守り、ヨーリィは興味があるのか無いのかオレンジジュースを飲みながらぼんやりと眺めていた。 武器は木刀のみ、魔法の使用は無しの一般的な剣士の試合だ。両方が相当な実力者ということを除いては、だが。「それでは準備は良いですね? 試合開始ー!」 ルーが威勢よく言うと同時にムツヤはトウヨウ目掛けて一直線に突っ走る。 縦に振り下ろさ

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