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第31話

Author: 玉井べに
こんな質問、無駄以外の何ものでもない。

それでも、凌の勝手な憶測で面倒事になるのは避けたかった。

「鈴香の社長よ」

鈴香?

凌はその名を知っていた。胸の奥で嫌な予感が芽生える。

夕星は隠さず言った。「会社に来ないかと誘われたの」

「見学させてもらったけど、規模は大きくないのに力はある会社だった」

「だから承諾したわ」

穏やかだった凌の表情が、じわじわと冷え切っていく。「認めない」

夕星は一瞬ぽかんとした。この件で凌の許可を得ようとは思っていなかった。

ただ伝えただけで、意見を聞くつもりなど最初からなかったのだ。

「凌、私の席は雲和に譲ったから、自分の道を探すしかないでしょ」

凌の唇が固く結ばれ、冷たい声が落ちる。「俺が養える」

金持ちの妻が他人の下で働くなどありえない。

夕星は冷えた目のまま窓の外を見た。凌が十人分の彼女を養えたとしても、だから何だというのか。

二人の間の情なんて、とっくに擦り切れてなくなっている。

いつ凌が離婚を言い出したっておかしくない。だから自分の足で立てるようにならなきゃならない。

男なんか当てにならない。頼れるのは自分だけ。

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