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第231話

Auteur: ドドポ
千雪は社長室に長居せず、自分の荷物を手早くまとめると、背を向けた。

背後から洵の優しい声がした。

「ファッションウィーク、頑張れよ」

「うん」

千雪は振り返って微笑み、社長室を後にした。

洵の顔から柔らかさが消え、徐々に冷ややかなものへと変わっていった。

彼はデスクに伏せてあったスマホを取り上げ、通話履歴を開いた。

一番上の履歴は澪からの着信だった。

だが、澪と通話した記憶はない。

彼が折り返すと、すぐに澪の声が聞こえた。

「洵?」

「ああ、俺だ。さっき電話してきたようだが、何か用か?」

電話の向こうで、澪は驚いているようだった。

千雪が電話のことを洵に話したのだろうか?

澪は内心訝しみながらも本題に入った。

「今、慈愛老人ホームにいるの。母が……あなたに会いたいって。来られる?」

澪は少し緊張していた。

この頼みを洵が聞いてくれるか分からなかった。

むしろ、もうすぐ離婚するというのに、母の見舞いに来てくれと頼むこと自体がおかしい。

だが、母は本当に洵に会いたがっており、彼女の耳元でずっと洵の話をしていたのだ。

「分かった」

電話が切れる直前、
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