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第166話

Author: タロイモ団子
過ぎ去った記憶は、まるで砂糖をまぶした毒薬のようだった。

たとえほんのわずかな甘みであっても、紬はそれを長い間、大切に噛み締めてきた。

そして……滑稽なことに、その淡い期待を、この一瞬の闇の中でも抱いてしまったのだ。

レストランの闇は果てしなく、底知れぬ深さを湛えていた。

そこに客たちの怒号や罵声が混ざり合い、店内は一気に騒然とした混乱に包まれる。

紬は苦しくてたまらなかった。

闇に飲み込まれたように意識が揺らぎ、頭の中がぐわんぐわんと回り、震えが止まらない。

その時だった。

大きな手が紬の手をぎゅっと握りしめ、背中を優しく撫でる。

「怖くない。俺がいる」

レストランが闇に包まれた瞬間、成哉の脳裏には、紬が暗闇を極端に恐れていたことが真っ先に浮かんだ。

彼は記憶を頼りに、本能的に彼女の席へ向かおうとした。

「成哉さん、行かないで。私、怖いの」

腕の中で震える望美の体を感じ、成哉は足を止めた。

これ以上進むことができず、彼は腕の中の女をなだめることを選ぶ。

「大丈夫だ、望美。俺が守る」

もう何年も経ったのだ。紬の暗闇恐怖症も、昔ほどひどくはないはずだ。

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