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第643話

Auteur: タロイモ団子
紬がその願いを受け入れると、芽依の潤んだ瞳から大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。

これまで、自分は何度もママを失望させてきた。

だからこそ、本当にまた昔のように優しくしてもらえるのか、心のどこかでずっと怯えていたのだ。

それなのに、ママはあの日と変わらない優しい笑顔を向けてくれた。

紬が雑炊を作るため立ち上がろうとすると、芽依はまた置いていかれるのではないかという恐怖に駆られ、その手をさらに強く握りしめた。

「ママ……私が悪かったの……お願いだから行かないで……」

小さな手は必死で、決して離そうとしない。

紬は芽依の尋常ではない怯えように違和感を覚え、そっと額に手を当てた。

掌に伝わってきたのは、驚くほど高い熱だった。

胸を締めつけるような愛しさと痛みが込み上げる。

紬はそっと手を握り返し、芽依の身体を優しくさすって落ち着かせた。

それから急いで病室を出ると、看護師から冷却シートをもらって戻ってきた。

芽依の額に丁寧に貼り、呼吸が少し落ち着いたのを確認してから、雑炊を作るため一度スタジオの上にある自宅へ戻ることにした。

幸い、病院から自宅まではそう遠くない。

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