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第2話

Author: ちょうどいい
理人は、呆気に取られたようだった。しばらく何も言わなかったが、その横で女の子が突然泣き出した。

「芙美香さん、東条先生を責めないでください。先生、本当にあなたとご両親の間に挟まれて、ずっと大変だったんです。

同じ女として、私のことを嫌ってるのは当然だと思います。でも安心してください。私も東条先生も、もう約束してるんです。この子は、生まれたらあなたに育ててもらいます。自分の子どもだと思ってくださればいいんです。

明日はただ、私の夢を一つ叶えたくて……みなさんと家族写真を撮りたいだけなんです。もし嫌なら、私たち行きませんから」

理人の心は、たちまち彼女の側へ傾いた。

彼からすれば、美月はもう十分すぎるほど気を遣い、我慢して譲っているのに、私は一転して人を責め立てる嫌な女になったのだろう。

彼は小さく舌打ちし、まるで私に心底失望したような口ぶりで言った。

「芙美香、美月はまだ若い子なんだ。それに妊婦だぞ。もともと気持ちが不安定になりやすい時期なのに、俺はちゃんとした立場にしてやることもできない。十分かわいそうだろ。なんでそこまでして美月をいじめたいんだ?

離婚したいんだろ?いいさ。お前の望みどおりにしてやる。その時になって後悔するなよ!」

電話は切れた。

耳に残る話し中の電子音を聞きながら、私は脇に置いてあった荷物へ目をやった。

後悔するかって?

たぶん、もうしないと思う。

私は荷造りを始めた。

長いあいだしまい込んだままだった、あの手の込んだワンピースやスカートを引っ張り出した時になって、ようやく私は昔の自分がどんなだったかを思い出した。

理人と結婚する前の私は、家族に大事に大事に愛されて育った、お姫様のような存在で、自信に満ちていて明るかった。

でも、今は?

鏡を見た。そこに映る女の目には、隠しようのない疲れがにじんでいた。来る日も来る日も台所に立っていたせいで、もともと白かった肌もずいぶん荒れてしまっていた。

私はぼんやりと、同年代の人より老けて見えるその顔に手を伸ばした。

どうして、こんなふうになってしまったんだろう。

私はため息をつき、また荷造りを続けた。けれど、まとめているうちに、おかしいことに気づいた。

引き出しに入れてあったはずのジュエリーケースが、いくつもなくなっていた。

中に入っていたのは、昔自分で買ったブランド物のジュエリーばかりだった。

でも、それを着けたまま家事をするとすぐ傷がつくし、そのうち私はジュエリー自体を身につけなくなっていた。

真っ先に頭をよぎったのは、いつの間にか空き巣に入られたのではないかということだった。

けれど、家にあった現金はまったく減っていなかったから、その考えはすぐに打ち消した。

私は目を伏せた。

たぶん、盗んだのは外の人間じゃない。

私はそのまま通報した。

警察と管理会社の人と一緒に防犯カメラを確認した結果、容疑者はすぐに絞られた。

理人と美月だった。

数か月前、義母が体調を崩し、私は病院で付きっきりで世話をしていた。

その一方で、夫である理人は、美月を連れて私たちの新居に住み込んでいたのだ。

二人が一緒に出入りし、これ以上ないほど仲睦まじくしている様子を見て、管理会社の人も警察も、同情するような目で私を見た。

胸が少し痛んだ。

でも、もう本当に失望しきっていたのかもしれない。私はすぐに気持ちを切り替え、映像の中で美月の手首にはまっているブレスレットを指さした。

「それ、全部私の物です。返してもらえますか?」

どれも結婚前から持っていた私の財産だったので、警察も返還を求めることに同意してくれた。

美月の住所が分かると、私たちはそのまま一緒に向かった。

ドアを開けたのは理人だった。

彼は私を見るなり、顔にあからさまな嘲りを浮かべた。

「離婚するって言ってたんじゃなかったのか?それなのに、またのこのこ来たのかよ。やっぱり俺と別れるなんてできないんだろ。

でも、ちょうどよかった。美月ちゃん、今日は歩きすぎて足がつらいんだ。お前、ちょっと揉んでやれよ!」

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