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149.真相③

last update Date de publication: 2026-06-10 19:03:12

遥side

「住吉社長は流産の事実を知ってはいたが、それ以外の詳細は何も知らなかったようだ。星野麗華が遥に『お腹の子は奏多の子供だ』と告げた件についてもね……。その事実を突きつけた時、彼は目を丸くして驚いていたよ。どうやら彼も、星野麗華に騙されていたらしい。『恋人でも何でもないのに、俺たちに子供なんてできるわけがないだろう!』と、その場で叫んで彼女を問い詰めていたよ」

「え……子供なんて、できるわけがない……?」

俊の言葉が、ゆっくりと脳内で反芻される。

「ああ。星野家への

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  • 離婚して、今さら愛してると言われても   159.行方不明

    遥side岡田が警察の車両へ連行されるのを見届け、何十年にも及ぶ因縁がようやく終わったことに安堵を覚えたのも束の間だった。鞄に入れていたスマートフォンが激しく震えている。電源を入れると画面を埋め尽くす通知の山だった。執事長、運転手、そして秘書に至るまで数十件もの不在着信が私を追い詰めていた。「どうしたの? 遥、そんなに驚いて……」「……何件も着信があるの。何だか、嫌な予感がする」「僕のところにもだ……。何があったんだろう」俊も自身の端末を確認し顔を曇らせた。先に気が付いた私が執事長に掛け直すと、受話器の向こうから聞こえてきたのは、冷静さを欠いた悲痛な叫びだった。「遥様……大変、大変申し訳ございません! ピアノ教室へ花蓮様をお迎えにあがったのですが…………どこを探しても姿が見当たらないのです」「え……? 花蓮が、いない……? 」私の叫び声に俊と直人が目を大きく見開いて、私たちの電話に聞き耳を立てている。

  • 離婚して、今さら愛してると言われても   158.混乱

    麗華side都内でも屈指の有名幼稚舎の生徒が通う名門ピアノ教室。ここで、私はその時を待っていた。この教室に、東宮遥の娘である花蓮が通っていると突き止め、受付のアルバイトを志願したのだ。住吉商事の傘下を離れた後は散々だった。仮想通貨事業のみ残った五十嵐工業だったが、みなが離れていき残ったのは私一人。事業をやるために何をすればいいかさえも分からなかった。そして、最悪なことを二十年近く右肩上がりで急成長を続けていた仮想通貨はこの三か月で大暴落をし、一気に最高値の半値にまで下落したのだった。毎月買い増しをしていた口座は一気にマイナスに転じ、税金対策として税理士を雇った時にはもう何の対策がとれないほどにまで赤字が膨れ上がり、継続不可能と判断され、先月自己破産をしたのだった。私は、かつての肩書きもプライドも捨ててピアノ教室の受付に応募した。これもすべてあの女の娘が通っている。ただそれだけのためだ。「星野」という姓を名乗ると面接官は恐縮しその場で採用が決まった。仕事は受付として来客をさばき、セキュリティカードの貸し出しを確認する程度の些細な事務作業のみ。実質、私の監視の目は、この待合室という箱の中に固定された。レッスンの時間は毎週火曜の午後二時半から四時。私のシフトも、着替えを含めて退勤時間を彼女の退出タイミングに完全に同期させた。シミュレーションは万端。あとは、獲物が現れるのを待つだけだ。時刻は午後三時五十五分。レッスンを終えた子供たちが次々と部屋から溢れ出てくる

  • 離婚して、今さら愛してると言われても   157.罪

    遥side「社長宛ての来客がありまして……今、応接室に案内しました」「来客ぅー?俺は聞いてないぞ。そんな飛び込みでやってくる無礼者なんか追い返してしまえと言っているだろう!」品のない岡田の声が応接室まで筒抜けで響いている。こんな会話を相手に聞かせるなんて本当に執事をやっていたのかと疑いたくなる。これだけで質の低さを露呈しているようなものだ。小さくドアをノックした後に面倒くさそうにドアを開けた岡田だったが、私の顔を見た瞬間に信じられないという表情で目を大きく見開いてその場で立ち尽くした。「遥……なんでお前がここに。……どうせ仕事もに見つからず路頭に迷って助けを求めてここにきたんだろう。恩知らずのお前を助ける義理なんてない」私の事を何も知らない様子の岡田は、馬鹿にした態度で嘲笑している。その態度にうんざりして呆れて大きく溜め息をついてから今までの雪辱を晴らすように力強く見つけて声を張った。「恩知らず?……私の人生を狂わせて、自分だけいい思いをしておいてよく言うわね。私が何も知らないとでも思っているの?」「なんだ、その聞き方はっ……!お前を育ててやったのはこの俺だ。もっと感謝すべきじゃないのか?」

  • 離婚して、今さら愛してると言われても   156.報復の準備

    遥side「直人君、遥。大事な話がある。僕の部屋まで来てくれないか」俊に呼び出されて私たちが部屋へ向かうと、俊の表情は重く、ただならぬ空気を醸し出していた。何か重大なことが起きたのだと予感し、直人と顔を見合わせながら彼の正面に座るとすぐに本題へと入っていった。「実は、住吉奏多から僕の元へ連絡があったんだ。遥が住吉と結婚するきっかけとなった、あのスキャンダルについて裏で糸を引いていた怪しい人物が浮上したとね……」俊はそう言うとタブレット端末から一枚の写真を私たちに見せた。画面に映し出された二人の男の顔を見た瞬間、よく知っている顔に喉元までせり上がるような激しい怒りがこみ上げてくる。「これは……岡田。もう一人は誰なの?」「岡田の隣にいる男は、当時住吉商事と成瀬商事の商談で統括責任者を務めていた安井という人物だ。二人は旧友であることが判明し、ある時期を境に急激に羽振りが良くなったという悪評が絶えない。岡田は執事を辞め、その実績を盾に家政婦やホームヘルパーを扱う派遣事業を経営しているよ」「岡田が派遣事業……? 岡田は私利私欲にまみれた男よ。きっと相手が拒否しにくいような理由をつけて中抜きをして私腹を肥やしているに決まっているわ」「もう一人の安井もまた

  • 離婚して、今さら愛してると言われても   155.復讐

    思い返せば、私の人生は完璧そのものだった。欲しいものはすべて手に入れてきた。高価な鞄や服はもちろん、学歴や地位、そして人の心までも、指先一つで命令し思いのままだ。奏多も私の掌の上で踊らせ、世間的には事実婚に思われせることに成功していた。しかし、東宮俊という触れてはいけない悪魔に触れた瞬間、すべてが崩れ去った。俊と奏多によって過去の悪事を暴かれた私は、周りの信用を瞬く間に失った。会社は住吉の傘下から切り離され、社員たちは、一斉に去っていった。事業を動かす人手も資金も失い、独力で再起など到底不可能。これまで「麗華の望みならなんでも叶えてやる」と甘やかしてくれた父でさえ、今は別人のように私の事を疎ましく思うようになり、顔も見たくないという態度だ。「もう私の手に負えない。これ以上、私に頼ってくるのはやめてくれ」そう言って冷酷なまでに突き放された。また、過去に私を積極的に誘いチヤホヤともてはやしていた男たちすらも気が付いたら誰もいなくなっていた。彼らはみんな他の女と結婚し平穏な家庭を築いている。せっかく私から連絡をしてあげたのに、迷惑そうな反応で「もう二度と連絡を寄こさないでくれ」とか「この電話を切ったら着信拒否するから」なんて言われたり、あるいは無視を決め込んで既読スルーする始末だ。「……何よ。みんなして一体どういうつもり? あんなに私に熱心に誘って、私がいいって言い寄ってきたくせにっ……!」鏡に映る私は、以前の華やかさを失い、どこか痩せこけている。部屋に溢れているのは、新作が出るたびにねだって買わせた興味のないブランドバッグと靴

  • 離婚して、今さら愛してると言われても   154.確信

    奏多side「社長……例の二人ですが、学生時代の旧友であることが判明しました。一人は出世を重ね、現在の幹部にまで上り詰めています。もう一人は会社を辞め、今は事業主として悠々自適に暮らしているようです。二人とも、ここ数年で急激に羽振りが良くなったという悪評も聞こえてきます」佐藤が淡々と報告書を読み上げる。二人の繋がりが確認された今、仮説は確信へと変わりつつあった。「そうか……接触して事実確認をする必要があるな。それには、東宮側の協力が不可欠だ。俺から直接連絡を入れておく。……佐藤、下がってくれ」俺は即座に東宮俊へ連絡を入れた。この新たな事実に、東宮はすぐさま食いついてきたが、遥の名前を出すと、電話越しの声が途端に歯切れ悪くなった。「……それは本当か? 実はその人物の動きには、私も以前から懸念を抱いていたんだ。真相を暴くために、遥がその場に立ち会えば確実に追い詰めることができるだろう。だが、そんな無茶はさせられない。遥が深く傷つくようなことは、もう二度とさせたくないんだ」東宮が遥を想う心境は痛いほど分かる。だが、この真相を晒すためには、遥本人の協力が絶対に必要なのだ。それに、俊は遥の芯の強さを過小評価しているのではないか。「……お気持ちは分かります。ですが、遥さんは貴方が思うよりもずっと強い人です。生まれた時から、何が

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