第822話

彼は相沢直人の襟首を掴み、反対側の壁に叩きつけた。

相沢直人は頭から血を流した。

九条時也は相沢直人の髪を掴み、壁に顔を押し付けた。「俺の前に跪いて、チャンスをくれと頼んだことを忘れたのか？利用した後は知らん顔か？」

相沢直人はもがいたが、無駄だった。

九条時也は恐ろしかった。

何かを吐き出さなければ、九条時也に殺されると確信した相沢直人は、顔を歪ませ、苦しそうにこう言った。「明日の夜8時、真由美さんはリドクラブで麻雀をする」

九条時也は彼を力強く突き放した。

そして、USBメモリを彼に投げつけた。

床に伏せた相沢直人は、九条時也の前では、過去も今も犬以下だと感じた。

......

翌日深夜。

麻雀で勝った佐々木真由美は、上機嫌で相沢直人と楽しむつもりだった。

しかし、心の中では相沢直人のことがもう物足りないと感じていた。

佐々木真由美は黒い車に乗り込んだ。運転手は腹心で、彼女が相沢直人を囲っていることを知っていた。彼女は小声で言った。「いつもの場所へ」

しかし、運転手は返事をしなかった。

佐々木真由美は嫌な予感がした。

前を見ると、運転席には大きな影がタバコを吸っていた。

叫ぼうとした瞬間、ドアは内側からロックされた。

佐々木真由美は恐怖に満ちた顔で言った。「一体何を企んでいますか？」

九条時也はゆっくりとタバコを吸い続けた。

そして、静かに言った。「B市から来た時、俺は『情けは人の為ならず』と思ったが、あなたたちは明らかにその機会を俺に与えようとはしなかった。仕方がない、俺のやり方でケリをつけるしかない」

佐々木真由美は窓を叩いた。

しかし、車は防弾仕様で、叩いても無駄だった。

九条時也は薄ら笑いを浮かべた。「たった今、真由美さんと直人の動画をメディアに送った。あんな刺激的なものは、きっとすぐにネットに拡散されるだろう......」

彼は腕時計を見て言った。「5分経った。もうトレンド入りしているはずだ！」

佐々木真由美は顔面蒼白になった。

彼女は懇願し始めた。「九条社長、これまでのよしみで、声明を出して、動画は合成で、女は私じゃないと言ってください」

「遅い！」

九条時也はタバコを吸いながら、無頓着な声で言った。「同時に、金吾さんが真由美さんを通して受け取った大金や骨董品もすべて暴露した！幸い、俺と真由美さ