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第1160話

Author: 桜夏
理恵はそれを聞き、心の中で感心した。さすがは翼の彼女、彼のことをよく分かっている、と。

だが、口から出た言葉は違った。

「いいえ、綺麗だからって、どうにもならないこともあるの。例えば、相手があなたのことを、ただの妹としか見ていなかったら。

それこそが、一番の悲劇よ。相手は、自分が好かれていることさえ知らず、その子は、青春のすべてを捧げて、彼に片想いしていたのに」

理恵は、表情と眼差しで、その言葉に完璧な演技を乗せる。無念さと、悲しみに満ちた寂寥感を、まるで本心が溢れ出たかのように、極限まで表現してみせた。

もっとも、彼女が言ったことは事実であり、ただ、少し情緒的に脚色したに過ぎない。

向かい側では。

女はそれを聞いて眉をひそめ、目の前の美人を値踏みするように見つめた。その纏う雰囲気から、彼女がただ者ではないことが見て取れた。

エセお嬢様と本物のお嬢様の区別くらいは、モデルである彼女にもつく。

業界で、見栄を張る女などいくらでも見てきたが、目の前のこの女性は、それらとは違って見えた。

それなのに今、彼女はあのクズ男である翼を庇っている。二人は、知り合いなのだろうか。

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