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第263話

作者: 桜夏
蓮司の顔は途端に曇りから晴れへと変わり、興奮のあまり椅子から立ち上がりさえした。

その視線は、スーツ姿の女性に釘付けになっていた。

透子は視線を合わせず、顔には何の表情も浮かべず、ただ淡々と口を開いた。

「新井社長、こんにちは」

その冷たく、よそよそしい呼び方に、蓮司の胸に鋭い痛みが走った。彼は足を踏み出し、彼女の方へ向かおうとした。

蓮司が動くのが視界に入り、透子は無意識に一歩後ずさった。

透子の背後にはドアがあり、逃げ出すのは容易い。そのため、蓮司は足を止め、軽率な行動は取れなかった。

彼はその場に立ち尽くし、昼も夜も想い続けた人を、ただじっと見つめていた。

嫌悪もなく、何の表情もない。湖の水面のように静かだが、それがかえって蓮司に拳を握りしめさせ、胸を締め付けた。

透子は彼を見ようともせず、憎しみや嫌悪すらない……もう完全に、自分を無関係な他人として扱っているというのか?

それは、彼にとって殺されるよりも辛いことだった。

傍らで、営業部長と公平は、新井社長の表情が百八十度変わるのを目の当たりにし、同時にその視線が透子に釘付けになっているのを見ていた。

「新
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