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第318話

作者: 桜夏
「それじゃ、元新井夫人じゃない!」

彼女は笑って言った。

「その呼び方は好きじゃないの。これからは名前で呼んで」

透子は無表情に、どこか真剣な響きを込めて言った。

傍にいた数人の同僚は彼女の顔色を見て、すぐに察した。彼女を「新井夫人」と呼んだ同僚は、気まずそうに謝った。

「ごめんなさい、悪気はなかったの」

噂話には当然、透子が蓮司を全く愛しておらず、結婚したのは桐生社長のためだという話も含まれていた。だからこそ、「新井夫人」という呼び名をあれほど嫌うのだろう。

その呼び名は多くの女性が夢見るものだが、透子にとってはまるで古靴のように捨て去りたいものだった。

「大丈夫よ。みんな、他に用がなければ席に戻って」

透子は微笑んだ。

数人はその様子を見てそれぞれの席に戻り、透子は豆乳を飲むと、仕事に没頭した。

その後の一日は、彼女に探りを入れてくる者はいなかった。しかし、それでも時折、彼女に視線が注がれることはあり、透子はさらにあることに気づいた。

グループ内の人々が、以前にも増して彼女に敬意を払うようになったのだ。具体的には、話し方が非常に穏やかになり、仕事の割り振りに
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