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第393話

Author: 桜夏
彼はすぐさまスマホを取り出して電話をかけた。直接尋ねることはせず、まずは時候の挨拶から入った。

そこから仕事の話に繋げ、事前の段取りが必要かどうかを尋ねることで、直接的な結論を引き出そうとした。

通話を終えると、浩司は言った。

「プロジェクトは取れました。今後は両社で共同開発を進めるそうです」

その言葉を聞き、悠斗は目を細めた。

では、大輔のあの言葉は何だったのだ?提携が成功したというのに、蓮司はなぜ怒っていた?

それとも、あれはただ大輔が自分をからかっただけなのか。

後者の可能性が高いと考え、彼は冷笑した。

たかがアシスタントにまで、馬鹿にされて頭を踏みつけられる。こんな屈辱、誰が耐えられるというのだ?

車が大通りの車線に合流していく。その後方、道端の木陰で。

一台のスマホが、音もなく数枚の写真を撮り、転送した。

午後の始業時、大輔はすでに効率よくすべての情報を集め、蓮司に報告していた。

浩司が博明と繋がりがあることは確実で、三人は共に食事をし、浩司は談笑しており、とても強制されたようには見えなかった。

蓮司は拳を握りしめ、冷たく言った。

「奴をクビにしろ。それから、社内に他に博明たちと通じている者がいないか調べ、内通者を一掃しろ」

この蓮司の下で働きながら、外部の人間に尻尾を振るとは。自分は甘すぎた。業界から完全に締め出し、京田市にいられなくしてやるべきだった。

大輔は言った。「他の役員についても、引き続き調査いたします」

「ですが社長、佐々木部長を直接解雇するのは得策ではありません。

もし本当の理由が外部に漏れれば、社長ご自身の評判に傷がつきますし、お爺様に対しても申し開きが立ちません」

浩司には、何か決定的な過失があったわけではない。彼はただ、悠斗の異動に協力しただけだ。

そして、悠斗が本社に来られたのはお爺さんのご意向だ。浩司を解雇すれば、それは間接的に会長に「盾突く」ことになりかねない。

こうした「体面」への配慮は、普段の社長なら真っ先に思い至るはずだが、今回はあまりに腹を立てておられるのだろう。

大輔は重ねて言った。「あのアシスタントならまだ業務上の理由で解雇しても波風は立ちませんが、佐々木部長はマーケティング部の部長です。やはり慎重になるべきかと」

蓮司は彼を見つめ、反論はしなかった。

すぐにでも内通者
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