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第453話

Author: 桜夏
会場に入って十分ほどが経つ。ざっと見渡した翼の顔には、失望の色が浮かんでいる。

美しく、純粋で、なおかつ知的な女性を口説き落とそうなどと、今夜は場違いだったかもしれない。

こういうとき、ありふれた女の良さを思い出す。少なくとも単純で扱いやすく、金さえ積めばいいのだから。

最上階で風にでも当たろうかと、三々五々集まっている人々のそばを通り過ぎたとき、彼女たちの会話が耳に入った。

「ねえ、今夜来てる御曹司たち、いまいちじゃない?新井グループの新井社長も柚木グループの柚木社長も来てないし」

「あの二人は大物だから、自由恋愛じゃなくて政略結婚が優先されるのよ、きっと」

「でも新井社長は政略結婚じゃなかったでしょ?上流階級で探したけど、元奥さんなんて人、どこにもいなかったもの」

「私は柚木社長のほうがいいな。少なくとも初婚だし。この間、新井社長が元奥さんにDVしてた上に、性格も暴虐だなんて噂があったじゃない?うわ、怖すぎ」

……

通りすがりの翼は、それを聞いて静かに笑った。見ろ、聡が来ないからといって、あいつはご令嬢方に大人気じゃないか。

スマホを取り出して、そのことを伝えて
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