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第893話

Author: 桜夏
ベッドの上で、透子はその言葉を聞き、わずかに唇を結んだ。橘家の人間は、あまりにも過干渉だと感じていた。

駿は椅子に腰掛け、透子としばし言葉を交わす。話題は、自然と会社のことになった。

透子は言った。「先輩、部長に長期休暇の申請をお願いできますか。携帯を家に忘れてきてしまって、連絡が取れないんです」

駿は言った。「分かった。急がなくていいから、まずは体を治すことだけ考えて」

二人がそう話していると、聡が朝食を買って戻ってきた。

聡は買ってきたものをサイドテーブルに置きながら、軽口を叩く。「俺が直々に買ってきたんだぞ。妹ですら、こんな甲斐甲斐しいサービスは受けたことがない」

透子はか細い声で言った。「ありがとうございます……」

聡は蓋を開けながら言った。「礼はいらない。俺がわざわざ一走りしてきたことに免じて、少しでも口にしてくれれば、それでいい」

理恵がお粥を受け取ってスプーンを手に取ると、聡はベッドの頭をちょうどいい高さまで上げてやった。

外では。

橘夫妻は、透子がようやく食事を口にしたのを見て、この上ない安堵と喜びに包まれると同時に、胸を締め付けられるような罪悪感に苛まれていた。

娘が先ほどまで食べようとしなかったのは、食欲がないからではない。自分たちが、そばにいたからなのだ……

美佐子は唇を噛み締め、どうすれば娘に許してもらえるのか、その術が分からなかった。

いっそ、自分たちを罵ってくれればまだいい。それなのに、彼女は一言も話そうとせず、会おうとさえしてくれない……

その無関心を装うような態度に、彼らはなす術もなく、途方に暮れていた。

病室の中。

理恵が少しずつスプーンを運び、透子は小さな口でそれに応える。聡と駿は傍らでその様子を見守り、少しだけ安堵の表情を浮かべた。

食事ができるのなら、容態はかなり回復に向かっている証拠だ。残るは、心の傷だけ。

透子は十口ほど食べると、理恵が次を差し出した時、静かに首を横に振った。

理恵は尋ねた。「もういいの?」

透子は頷いた。確かに食欲はあまりなく、数口食べただけでもう喉を通らない気がした。

理恵がお椀をテーブルに置くと、透子は彼らを見て言った。

「お見舞いに来てくださって、ありがとうございます。でも、今日はまだ平日ですし、もういい時間ですから、皆さんお仕事に戻ってください」

理恵
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