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第761話

Auteur: 小春日和
立花家の寝室。楠木は白い脚をゆっくりと踏み出して浴室から現れた。身にまとっているのは薄手の黒いレースのネグリジェだけで、濡れた髪にはまだ水滴が残っていた。眉を寄せる仕草も、微笑む表情も、どれも男心を誘う艶やかさだった。

立花がドアを開けると、楠木はすぐに駆け寄って首に腕を回した。甘えるような声でそっと尋ねる。「孝則、最近……私のこと、恋しくなかった?」

立花は楠木の手を冷たく振りほどいた。その態度に、楠木の笑顔は徐々に薄れていった。立花は向かいのソファに腰を下ろし、淡々と口を開いた。「俺に何の用だ?」

「会いたくて来たの。ダメだった?」楠木は立花の隣に寄り添いながら言った。「新しくピアニストを雇ったって聞いたけど?」

それを聞いた立花は楠木の髪を指で弄びながら、気のない声で答えた。「ただのピアニストだ。嫉妬か?」

「ピアノならもう壊させたわよ」楠木は不満げに口を尖らせた。「私が、自分のものに他人が触れるのを嫌うの、

あなたも知ってるでしょう?」

「別に大したことじゃない。明日、忠司に新しいのを買わせればいい」

「本当?」

「本当だ」

「そのピアニスト、どうするつもり
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