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第367話

Author: いくの夏花
奈々はやや苛立った様子で言った。「川崎、どうしてそんなことを聞くの?先生の彫刻の秘訣でも探ろうっていうの?言っておくけど、無駄よ。雪嶺斎先生がいる限り、今回の全国彫刻大会の一位は、私たち渕上家ジュエリーが必ず勝ち取る!あなたは惨めに負けるのを待っていればいいの」

彼女の顔には誇らしげで得意げな表情が浮かび、まるで既に遥香が惨敗する姿を見ているかのようだった。

遥香はもう奈々を見ようともせず、視線を「雪嶺斎」の顔に固定した。

その顔の輪郭一つ一つ、細やかな表情の一つ一つが、養父と寸分違わぬものだった。

しかし、彼の眼差しも反応も、遥香が投げかけた過去にまつわるあらゆる試みに対して、何の波立ちも示さなかった。

この人は養父ではない。

たとえ養父と瓜二つの顔をしていても、彼は決して、自分を愛し、すべての優しさを注いでくれたあの養父ではなかった。

見慣れた顔に胸を激しく揺さぶられていた心は、今や徐々に冷え、沈黙へと沈んでいった。

言い表せない失望と怒り、そして欺かれたような屈辱が、心の底から込み上げてきた。

コードA――彼らはいったい何を企んでいるのか。養父と同じ顔を持つ男を差し向け、自分の心を打ち砕こうとしているのか。

遥香はゆっくりと立ち上がり、緊張で握り締めていた指を少しずつ緩めた。

「雪嶺斎先生、本日はお忙しい中お時間を頂き、ありがとうございました。渕上さん、失礼いたします」

そう言って、もう一度も振り返らずに身を翻し、立ち去った。

修矢は鋭い刃のような眼差しで「雪嶺斎」を深く見据え、すぐに立ち上がって遥香の後を追った。

奈々は二人の去る背を見て、得意げに鼻を鳴らした。「まあ、分かってるみたいね」

個室には奈々と「雪嶺斎」だけが残された。

「雪嶺斎」は茶碗を手に取り、静かに一口含むと、始終表情に大きな変化を見せることはなかった。

カフェを出た時、遥香の張りつめていた神経がようやく少し緩んだ。

「あの人ではない」遥香は修矢に小さく告げた。声には疲れがにじんでいたが、それ以上に、すべてが決着したかのような静けさが漂っていた。

修矢は彼女の手を握った。その指先は氷のように冷たかった。

「わかっている」修矢の声は落ち着いていた。「コードAがわざわざ偽物を連れてきたのなら、必ずもっと大きな企みがある」

遥香は彼の肩にもたれ、軽くうなず
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