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第 502 話

Author: スイカのキノコ
二人がフラワーフェアリーから出てくると、尚吾は真依に尋ねた。「いくら用意したんだ?」

「全部で四十億円くらいよ」真依は言った。

尚吾は頷いた。「追徴課税が出たら、お金が足りなくなったらまた言え」

「今日はありがとう」真依は昨日まで彼を計算していたのに、今日は心から感謝せざるを得なかった。

人生とは......

彼女はビジネスの分野では、まだまだ未熟だった。

「今すぐ感謝するのは早すぎる。紗月の件は、綾乃の件から手を打つしかない。まずは静観しよう」尚吾はそう言いながら、腕の時計を見た。「もう遅い。帰って休め。明日の朝五時には、新しい仕事がある」

真依は今、完全に彼に引きずられていた。

「分かった
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