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第34話

Penulis: marimo
last update Terakhir Diperbarui: 2026-01-04 20:23:19

 真琴がふと楓の腕を握り直し、少し真顔になった。

「ねぇ楓。こういうとこで変な男に捕まるのはマジで危ないから。

 どうせなら店の男の子たちにチヤホヤされる方が、全然安全。

 お金で守られてる方が、逆に気楽よ」

「……それはちょっとわかる」

 亮と来たあの店は、政治家の会食にも使われる上品な店だった。

 若いホストたちは、亮の同伴というだけで距離を置き、

 楓に近づくことはほとんどなかった。

 だから、楓にとって“ホストの世界”は未知数だ。

 でも――

 今日は、自分を取り戻す夜。

(亮を思い出す場所じゃなくて……自分のための場所がいい)

 楓は心の中でそう呟き、深呼吸した。

「真琴、亮と行った店……あるんだけど、そこは行きたくない」

「あー、それはやめとこ。偶然なんてあるもんね」

「うん……だから、たった二回だけ行った別の店があるの。

 亮とは会わないはず。客層も違うから」

「じゃあそこにしよ! 楓の“新しい夜デビュー”のお店ね!」

「新しい夜デビュー……?」

「いいじゃん響き! ほら、行くよ!」

 二人は繁華街を抜け、少し落ち着いた裏通りへ入っていく。

 照明が少し暗くなり、代わりに店のネオンが一つ一つ際立って見える。

 前方に見慣れた看板が見えた。

 ――CLUB Argo。

 ギリシャ神話にちなんだ名前を冠した、シックで大人向けのホストクラブ。

 楓が亮と来た店とは別の系列店で、より落ち着いた雰囲気の店だ。

「ここ。入る?」

「入る!!」

 真琴の声が弾む。

 その明るさに引きずられて、楓の緊張が少しずつほぐれていく。

(……もう、亮の面影に怯えない)

 そう思えた自分に、楓は気づかないうちに微笑んでいた。

 黒のスリップドレスに赤いハイヒール。

 真琴は青いドレスにゴールドのヒール。

 二人は夜風をまとって歩き、

 ゆっくりと扉へと近づいていく。

 店の前に立つスタッフが、二人を見てわずかに目を見張った。

「いらっしゃいませ……お客様方、今夜は特別な夜になりそうですね」

 その言葉に、真琴がくすっと笑う。

「特別な夜っていうの、約束できる?」

 スタッフはプロらしい笑顔で答えた。

「もちろんです。おふたりのご希望に叶うよう、最高の夜をご用意します」

 楓はドアノブに指を添えた。

 胸の奥で、かすかな鼓動が高鳴る。

(これは……亮を忘
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