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第2話

Penulis: ちょうどいい
翌日、葵はアルバムを一冊持ってきた。

「蓮さんが、最近ずっと寝てばかりで退屈してるだろうからって。気晴らしになるものを持ってきてあげたの」彼女は私のベッド脇の椅子に腰かけ、アルバムを開いた。

写真が一枚、また一枚と、私の目の前を流れていく。

蓮が彼女にコーヒーを買ってやる何気ない日常、彼女が静かに眠っている姿、そして二人で撮ったさまざまなツーショット。

私は爪を深く掌に食い込ませた。鈍い痛みが走ったが、胸の奥を刺すようなその鋭い痛みは、どうしても抑えられなかった。

「蓮さんって、写真撮るの上手でしょ?」葵は無邪気に笑った。「私のほうが美玲さんよりポーズの取り方がうまいから、自然に撮れるんだって」

私はいきなりそのアルバムをひったくり、全身の力を込めて壁に叩きつけた。

アルバムは壁にぶつかって鈍い音を立て、ビニールのカバーが裂けて、写真が雪のように床一面へ散った。

「出ていって」

歯の根が合わないほど震えていた。

葵はさすがに驚いたようで、たちまち目の縁を赤くし、びくりと身をすくませた。

「桐生美玲(きりゅう みれい)、お前はいったいいつまで騒げば気が済むんだ?」

蓮が初めて、名指しで私を怒鳴った。こめかみに青筋が浮いていた。

「葵が何をしたっていうんだ?ただお前を少しでも元気づけたかっただけだろ。少しは聞き分けてくれないのか」

「元気づける?」私は笑った。けれど涙は何の前触れもなくこぼれ落ちた。「蓮、見えないの?私がつらいのが見えないの?この手の針跡も、痩せ細って別人みたいになった私も、何も見えないの?今のあなたの目には、もう彼女しか映ってないんでしょう?」

私は葵を指さした。指先は震えていた。「彼女は若い、いたずらっ子、善意でやった。じゃあ私は?蓮、私はあなたの妻よ。私たち、結婚して五年になるの。今、本当に病気なのは私なのよ」

蓮の頬の筋肉がぴくりと引きつった。彼は私の燃えるような視線を避け、硬い口調で言った。

「変なことを考えるな。俺が今してることは、全部お前を助けるためだろ。葵の骨髄がなかったら、お前はどうするんだ?少しは俺のプレッシャーもわかってくれないのか」

彼は腰をかがめ、床に落ちた何枚かの写真を拾い上げると、そっと埃を払った。その手つきはやさしかった。

「美玲」彼は言った。「頼むから、手術のために、生きるために、もう騒ぐのはやめてくれ。少しは分別を持って、葵にもう少し優しくしてやってくれ」

「生きるために……」

私はその言葉を小さく繰り返した。

「わかった」

その返事を聞いて、蓮はようやく大きく息をついた。

彼の視線が私の手の甲に落ち、顔に申し訳なさそうな色が浮かんだ。「悪かった。このところ、ちゃんと気を配れてなかった。もう少しの辛抱だ。手術の日はもうすぐだから」

私は彼を見上げ、静かに言った。「疲れたの。休みたい」

「そうか。何かあったら看護師を呼べ。あるいは俺に電話してくれ」

足音がして、次第に遠ざかっていった。

ドアが閉まる。

世界はようやく、完全に静かになった。

私はナースコールを押し、看護師はすぐに入ってきた。

「すみません、紙とペンをください」

半分ほど書いたところで、病室のドアがまた開き、蓮が入ってきた。

彼は私がとっさに隠した紙を見て、眉をひそめた。「何を書いてるんだ?」

「別に。退屈だから、ちょっと落書きしてただけ」

蓮は特に疑いもせず、ベッドのそばまで来て、私の掛け布団の端を整えてくれた。しばらく黙っていたあと、彼は言った。

「美玲、ひとつ、お前に頼みたいことがあるかもしれない」

胸がどくりと鳴り、私は顔をそちらへ向けた。

「葵がこっちでずっとホテル暮らしなんだけど、どうもよく眠れてないらしい」蓮は言葉を選ぶように、私と目を合わせずに続けた。「ちょうど西環通りのあの部屋が空いてるし、ひとまずあそこに住まわせようと思ってる」

「蓮」

私の声はかすれていた。信じられないという思いがにじんでいた。

「あそこは私たちの古い家よ」

「わかってる」彼の口調には、やや苛立ちが混じった。「でも今は特別な状況なんだ。葵はお前のために、こんなふうに奔走してくれてる。放っておくわけにはいかない。それに、あくまでしばらくの仮住まいだ」

結婚してから私たちは一軒家へ移り住み、一度、私は冗談半分で、あの古い家を人に貸そうかと言ったことがあった。

そのとき彼はひどく怒った。私たちが何度も週末を過ごした場所で、思い出が詰まった場所に、他人を踏み入れさせることは絶対に許さないと。

「嫌だと言ったら?」

私は掛け布団を強く握りしめた。

彼は眉を寄せ、その目に責める色を浮かべた。

「美玲、どうしてそんなに聞き分けがなくなったんだ?この件はもう決まりだ。ちゃんと休め。余計なことは考えるな」

彼は背を向け、そのまま迷いなく出ていった。

私の命が尽きかけていたあのとき、夫は私を救うための希望を連れてきてくれた。けれど彼の心は、どうしようもないほど、その希望を差し出した若い娘のほうへ傾いていった。

あれは本当に私を救うための光だったのか。それとも、私を完全に打ちのめす最後の一撃だったのか。あのときの私には、もうわからなかった。

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