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第8話

Auteur: 最上慎
琴音の瞳は恐怖で満たされ、全身が絶望で震えていた。

「ああ、そういえばあなた、デザイナーだったわよね?世界的なデザイナーがペンを握れなくなったら……どうなるのかしら」

摩耶は目尻を吊り上げ、狡猾で残忍な笑みを浮かべた。勝者の優越感に浸っていた。

摩耶の指示の下、ボディーガードの手が動いた。

感電したような痺れが全身を走り、直後に激痛が襲った。

琴音は正気を失ったように泣き叫んだ。

白く華奢な右手首がみるみる腫れ上がり、赤黒い血が腕を伝って滴り落ちた。

額には脂汗が滲み、激しい痙攣が止まらなかった。

理性の糸が完全に切れた。琴音は手負いの獣のように、死に物狂いで叫びながら摩耶に飛びかかった。

摩耶のそばにいたボディーガードが即座に止めに入った。

だが琴音は執念で、摩耶のイヤリングを引きちぎった。

一瞬にして個室は大混乱に陥った。摩耶は耳から血を流し、恐怖に引きつった悲鳴を上げた。

「今すぐこいつを海に放り込んで、魚の餌にしておしまい!」

摩耶は目尻が裂けんばかりに目を見開き、射殺さんばかりの眼光で琴音を睨みつけた。その形相は、今すぐ彼女を生きながら食い殺さんと欲しているようだった。

ボディーガードたちは一瞬躊躇した。

「何をしてるの!生きて帰れると思ってるわけ?

私の命令が聞けないの?たかが顔の潰れた醜女が一匹死んだところで、誰も気にしないわよ!」

摩耶の罵声の中、琴音はボディーガードたちに縛り上げられた。

ドボンという音と共に、無重力感が襲った。

琴音は窓から海へと投げ捨てられた。

漆黒の冷たい海水が瞬時に彼女を飲み込み、窒息感が四方から押し寄せた。

次第に、彼女の体は制御を失って沈んでいき、四肢の感覚が麻痺していった。

目の前の景色がぼやけた。

琴音の脳裏に無数の映像が走馬灯のように駆け巡った。

刺すような冷たさの海水が彼女の鼻腔に流れ込み、琴音は必死にもがいた。

だが手足はロープできつく縛られていた。

すぐに意識が薄れ、急速に海の底へと落ちていった。

その頃、個室の騒ぎは多くの人の耳に入っていた。

騒ぎを聞きつけた蒼真は顔色を変えて駆けつけた。

ドアを開けると、血まみれの摩耶が目に入った。

彼は焦燥して怒鳴った。

「突っ立ってないで、早く医者を呼べ!」

彼の声には怒りが滲んでいた。

摩耶は弱々しく彼の胸に倒れ込み、苦しげに言った。

「蒼真、琴音を責めないで。わざとじゃないの、全部私が悪いのよ。

早く彼女を助けてあげて。彼女は怖くなって海に飛び込んだの。私、止められなくて……」

そう言い残し、摩耶は気を失った。

蒼真は胸中の怒りを無理やり押し殺し、陰鬱な顔で執事に命じた。

「今すぐ人を集めて引き上げさせろ!

生きていようが死んでいようが連れ戻せ!死んで逃げられると思うな!」

だが、一晩中捜索しても、琴音の姿は見つからなかった。

遺体さえも上がらなかった。

「社長、この海域一帯を探しましたが、痕跡はありません。水深も深いですし……おそらくもう……」

執事が恐る恐る口を開いた。

蒼真の心臓がドクンと跳ねた。

強烈な不安が胸を塞ぎ、得体の知れない感情が彼を取り巻いた。

「あり得ない。探し続けろ!死体でもいい、必ず引きずり出せ!」

この街のすべての救助隊と捜索船が海上に集結した。

丸三日三晩捜索を続けたが、何の成果も得られなかった。

本人はおろか、琴音の衣服の切れ端一つ見つからなかった。

「社長、半径百キロの海域をすべて捜索しましたが、雪代様のお姿はありません……

すでに三日が経過しています。この海域は普段は穏やかですが、海面下には凶暴なサメや暗礁が潜んでいます。雪代様は恐らくすでに……」

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