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第五話

last update publish date: 2026-08-01 15:07:05

第五話

僕は利根島さんと話しながら、これ僕ら呼ばれた意味あったのかと考えるようになった。

アイツと香澄さんが話し始めて三十分が経っている。

「おい香澄そろそろ話はいいだろ。こっちは教えないといけないんだ、それぐらい分かるだろ」

「ええやん。ひっさ会ってなかったんやし、大目に見て〜な〜」

アイツは香澄さんを小さい身体で押しのけて僕たちの目の前で浮かんでいる。

「今から二人に初歩的な三つの魔法を教える」

アイツが教えようとした時、香澄さんが話に割って入った。

「ウチ知ってるで、一つ目は回復魔法、二つ目が補助魔法、三つ目が攻撃魔法やで。その三つがあれば戦闘になっても困らんからな」

アイツは怒って香澄さんの下半身を魔法で消した。

僕と利根島さんは状況を理解するのに時間がかかってしまった。

「何すんねん、ウチのプリティーなお尻がなくなってもうたやないか!」

「テメェならすぐに治せるだろうが、こんのボケが!」

「なんや言い草は! 治せても元には戻らんのやで!」

子供の喧嘩みたいだな。

この光景を見た利根島さんはさすがに声を荒げた。

「二人とも喧嘩はやめて!! 魔法を教えるなら早く教えて! 時間の無駄!!!」

「誰に口聞いてんのか分かってるんかこのガキ!」

「はいは〜い、ナルミ落ち着こうね。ごめんねウチたちのせいで」

香澄さんはアイツを宥めた。

そしてアイツと香澄さんの魔法講義が始まった。

「無知なお前ら二人に魔法の原理について説明する」

それからのアイツの説明は難解な単語ばかりでよく分からなかった。

初心者相手なんだから分かりやすく教えてほしい、僕たちの命がかかってるんだから。

利根島さんがキョトンとしていると香澄さんが、待ちに待った出番がきて意気揚々と話し始めた。

「ようするに、魔法っちゅうのは各々の感情に紐付けて使うものっちゅうわけやな。連想ゲームみたいなもんや」

香澄さんは、結界の魔法を使用し説明を始めた。

パチン

「ウチがこれを使う時は"楽しい感情"を使うんやけど、連想ゲームやと説明したのはなウチの中の楽しい事を想像して感情を増やしてその増やした分を消費して魔法を発動させるわけや。感情を増やして消費すれば、プラスマイナスで言えばゼロになるからな。気をつけなアカンのは、使い過ぎればいずれは感情そのものが消えるちゅうとこや」

僕は疑問に思ったことを質問した。

「感情を使うということは魔を取り入れるのは何かしらの感情を増やすためですか?」

「そんなものやな。風香の場合は恐怖で魔法の威力が高まるわけやけど、ウチの場合はちゃうやろ。

そこで周囲から魔を取り込むわけや、魔を取り込めば最大の威力で使うことが出来るわけや……その代わり魔を取り込みすぎれば当然魔に近づくわけや。魔葬少女で魔法を使うっちゅうことは人形になるか、魔物になるかのどっちかってことや……まともな状態でいたいなら、まともな状態で魔物に殺されるしかないな」

まともでいるためには殺されないといけないってなんの冗談なの、どう考えてもおかしい。

……僕と朱莉は普通の生活に戻れないってことなの?

僕だけなら壊れてもまだ良い、だけど朱莉には絶対に元の普通の生活に戻ってもらう。

「風香ちゃん、それだけはダメ。一緒に元の生活に戻ろうね」

魔葬少女になって利根島さんが僕の思考を読んでるようなことが増えたけど、もしかして。

「朱莉もしかして何か魔法使ってる?」

「どうだろう、私にも分からないけど風香ちゃんの心の声が聞こえることがあるんだぁ」

利根島さんの言葉に香澄さんが反応した。

「無自覚で魔法を使うタイプは珍しい。しかも魔法を使ってもまともっちゅうことは溢れるほどあるっちゅうわけか……もしかして二人はこれやろ?」

香澄さんはそう言って小指を立てた。

僕は即答で否定した。

利根島さんは、否定されたのがショックなのが一目で分かる表情をしていた。

「別に朱莉のことが嫌いなわけじゃないから、安心して!」

僕は必死に朱莉に弁明した。

「おいお前ら、僕のこと忘れてないか?」

「まあまあナルミ今はそっとしといてあげたらええやん。こういうんは雛のうちしか出来へんのやし」

「雛のうちしか出来ないって愛海(まなみ)と付き合ってる香澄に言われても説得力ねぇぞ」

「褒めても何もでえへんで」

「褒めてないぞ(だが、付き合っている魔葬少女のコンビは片方失えば確実に魔物に堕ちる。僕からすれば積極的にコンビで付き合ってもらいたい、絶望ほど楽しいことはない。風香と朱莉の絶望を見れれば楽しいだろうなぁ)」

なんだアイツの様子がおかしい、何かを企んでいるようなそんな表情だな。

利根島さんは何か決意した表情で僕に言ってきた。

「風香ちゃんは、私のことを好きにならないでね。付き合うのはもってのほかだからね!」

こんな利根島さんを見るのは初めてだ。

……まさか、アイツが何か考えていたのか?

僕の思考を読んだ利根島さんは小さく首を縦に振った。

香澄さんの言い方からして正式な魔葬少女になれば契約霊を変えられる可能性がある。

それなら僕のやることは一つ。

『朱莉、僕と正式な魔葬少女を目指そう』

「うん、一緒に頑張ろうね風香ちゃん」

おそらくだけど利根島さんは愛の感情を使って魔法を使っているのだろう。

その後、僕と利根島さんは香澄さんに実戦形式で魔法を教えてもらった。

朱莉が傷つくのは嫌だけど、朱莉を失わないようにするには二人で魔法を覚える必要がある。

まともになるには殺されるしかないなら、僕と朱莉でまともに元の生活に戻れる方法を絶対に見つけてみせる、絶対に。

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