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第六話

last update Tanggal publikasi: 2026-08-02 07:34:15

第六話

「朱莉、片腕無くしたぐらいで動き止めたら死んでまうで! 死にとうないならもっと我慢せなアカンで」

僕はアイツに教えられた感覚を鈍らせる補助魔法を利根島さんに使用した。

「ありがとう風香ちゃん、これでもっと動けるよ!」

まだ連想ゲームみたいにするのに時間はかかるけど、回復魔法の練習の時よりは上手く出来る感覚はある。

香澄さんの実戦形式の訓練は容赦のかけらもなかった。

だけどそのおかげで、僕の恐怖は増えている。

恐怖が増えているということはまだ利根島さんと人間として暮らせるってことを意味する。

香澄さんなりの優しさなのだろうか?

「笑っとる場合ちゃうで風香!! アンタらその程度でホンマにあの魔物を成仏させたんか?」

この煽りは乗っても良いやつだよね。

ある程度恐怖も増えたし、心霊魔法を使おう。

「風香ちゃん、私も合わせるよ!」

「頼んだよ朱莉!」

朱莉の呪術で香澄さんの動きを鈍らせ僕の心霊魔法で攻撃する。

これなら少しぐらい香澄さんにダメージが与えられるはず!

命中した香澄さんは無傷で笑って立っていた。

「いや〜今のはちょいと驚いたわ。ええコンビネーションやったで」

もう驚くのも疲れてきた。

「だよね風香ちゃん。私たちが目指す目標としては驚いていられない……でしょ」

「朱莉の言うとおりだよ。だから僕は全力で立ち向かう」

僕が魔を取り入れて全力で攻撃する。

だから利根島さんはさっきみたいに合わせてほしい。

「任せてよ風香ちゃん!!」

僕は自らに補助魔法をかけ痛覚を鈍らせた上で魔を取り入れた。

「溜まったっ!!」

僕の合図と共に利根島さんは呪術の本で香澄さんの動きを鈍らせた。

「安心しぃや、避けへんから」

「「それなら遠慮なく、いかせてもらいます!!」」

僕と朱莉の攻撃は香澄さんにダメージを与えることが出来た。

全力の攻撃で左腕欠損させることしか出来なかった。

今回の訓練で僕と利根島さんは正式な魔葬少女の高さの片鱗を思い知ることになった。

香澄さんは欠損を秒で再生させた。

やはりなったばかりの僕と正式な魔葬少女では回復魔法一つとっても距離がありすぎる。

「二人ともなったばっかやって思えへんほどええで、ホンマ……ウチらがなったばっかの時よりええんやないか? 荒削りな部分はあるのはしゃあないけど良かったで」

訓練が終わって少し経ってアイツが僕と利根島さんを呼び出した。

「香澄との訓練の様子で二人にはそろそろ雛同士の顔合わせをしてもいい頃合いだと判断した。明後日には会ってもらうよう向こうの奴に交渉する。明日は休息時間にする。デートなりなんなりしていろ」

こいつから次にいつ休息時間と言われるか分からないのだから明日はゆっくり休むとするかな。

「私、風香ちゃんの家に遊びに行きたいですっ!」

いつかは言われるだろうと予測していた利根島さんのこの提案を僕は快く受け入れた。

だがこの時の僕たちには分かっていなかった。

雛たちの顔合わせの意味を。

そして場面は交渉を終わらせた後の顔合わせ予定の雛たちに切り替わる。

「ほんと何なのよ、突然顔合わせとかさ。何考えてんの?」

コンビ組まされた相手が変な奴なのは百歩譲っていいとして

「たしかアンタ契約霊っていうんだったわよね。契約霊はみんな元魔物とか言ってたけど、それなら魔物の姿ってどうやって決まるのか教えなさいよ」

この私に隠し事なんてさせないんだから!

「魔物の姿なんて簡単だよ。魔物になる前の未練みたいなものだよ。あたしの場合はワンちゃんみたいに可愛がられたいだったからこんな姿なんだよ〜、可愛いでしょ」

「可愛いわよ。でもアンタ相手にもその姿を要求して殺してたじゃない」

「あたしはみんなを可愛くしたい気持ちが強いんだよ」

「物はいいようよね」

未練って言われても私には思いつかないわね。

「ねえ、美月は私の未練ってなんだと思うのよ」

私は変な相方の松島美月(まつしまみつき)に聞きましたの、答えが返ってくるとは思っていませんでしたが。

「葵の未練なんて私が想像出来るわけないでしょ、私の真逆みたいな人間なのに」

「アンタに聞いた私が馬鹿だったわ。……そういえば美月には未練とかあるの?」

少しでも相方の美月のことを知っておきたい、その気持ちは私にだってありますわよ、当然ね。

美月の未練は私にとっては意外とそう思うものでした。

「私の未練は人間らしく扱ってほしい。それだけだね。道具じゃなく人間みたいにお話したり、遊んだりしてみたい」

「なんか意外ね。私からすれば美月は変な奴って思ってますけど、可愛らしい人間の女の子じゃないですか。まあ私に比べれば天と地ほどかも知れませんがね」

私の未練は素直になりたい、なのかも知れませんね。

今までは誤魔化すために高飛車で通してきましたけれど、魔法を使っていて思いますの……幸せってなんなんですの?

魔葬少女になる前までは私の人生は幸せに満ちていました。

ですが、母上が惨殺され契約霊のミコトに出会った三ヶ月前のあの夜から私の人生は狂い始めました。

説明しなくともわかると思いますが、主に悪い方向へです。

契約すれば母上を惨殺した相手に復讐出来るとミコトに言われ契約をしましたが、一向に出会える気配すらしません。

「本当、私の人生の意味ってなんなのでしょうね。美月もそう思いませんか?」

「私に聞かれても、良い答えは渡せないよ」

なんだか最近思うのですが、美月の口数が増えているのです!

昨日まで一言話せば良い方だったのですけれど……せっかくですから、もっと色々と話したいですわね。

「ねえ、美月の好きな食べ物って何かしら?」

「どうしたの急に?」

「友情を深めておけば連携が取れやすくなるでしょう? まっ、まあこれもコンビとして戦いを有利に進めるため仕方のないことですから」

「そうなの? 強いて言うなら肉かな?」

「何故疑問形ですの!! せっかく私が聞いてあげたというのに……ですがお肉ですか、分かりました。私は断然お肉よりはブロッコリーですわね! あのしゃきしゃきの歯応えにフサのモサモサの可愛さときましたら、一言でいうなら"愛い"ですわね」

「そうなんだ」

「反応が薄いですわよ!」

「あのさぁ二人とも仲がいいのは良いことなんだけど、仲良くしすぎたら失った時キツくない? 適度な距離感も大切だと思うなぁ」

「なななな仲がいいですって、わわ私と美月がですか!? そんなわけないでしょ、そもそも友達ですらないですよ、知り合いレベルですわよ……今はまだ」

「それなら良いんだ。大切な雛が死んじゃうのを見るとあたしも悲しいからね」

私の前任の雛をお腹が空いたとかしょうもない理由で食い殺してアンタに悲しいとは言われたくないわよそんなこと。

「そうだった、明後日顔合わせ予定の雛たちの紹介をしなきゃだよね。忘れてたよ」

私と美月は顔合わせ予定の秋口風香、利根島朱莉についての説明を受けた。

「案外まともそうね、この子達」

「そうだね。でも距離感が恋人みたいでちょっとどう接したらいいのか分からなくて苦手かも」

「何言ってるのよ美月、今の私と同じように接すればいいのよ。大船に乗ったつもりで私に任せなさいよ!」

「いいの?」

心配そうに見つめる美月を安心させるために私は声を張り上げて叫んだ。

「あったりまえよ、この私を誰だと思ってるの? 霜月財閥の一人娘である霜月葵(しもつきあおい)よ!」

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