Beranda / 恋愛 / 黒と白の重音 / 28.ミスティピンク - 2

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28.ミスティピンク - 2

Penulis: 神木セイユ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-10-12 11:00:00

 霧香に他意は無い。彼女の頭の中には基本的に彩の『音色』しか無いのだ。四六時中、音に執着し、息を継ぐ様に聴いていたい。例えその曲を知らなくても、思わず歩く足は止まり、食べ物を口に運ぶ手すら止めてしまうほどの……霧香にとっては最早、フェチシズムに近いほどの欲求なのだ。

 霧香はハランにはっきりと返事を返さず、窓の外の景色を眺める。

 ハランがあまりノリ気で無いことを悟り、やっぱりやめようかと悩んだ瞬間だった。

 駅近の交差点で、蓮がいるのに気付く。

 赤信号の歩行者道路で親しげに談笑する姿。

 同行者は女性。真っ赤な口紅にピンヒール。

 樹里のその年齢も外見も。

 普通は見かけても気にはならない。醜女では無いが大柄で太ましい体型はとてもじゃないが美しいとは言えない。職場の女性か、何らかの顔見知り程度なのではないかと街ゆく人も思うだろう。

 だが霧香の目にはそう見える事は無かった。

 バスは赤信号で止まり、蓮と樹里はバスの前を横切るようにして横断歩道を歩いて行く。

 目で追ってしまったらハランに気付かれるような気がして、窓の外の一点を見たまま視線を逸らさない。

 しかし、一度目に焼き付いた二人の姿が写真のように霧香の脳と身体の深い場所に焼き付く。

 体型こそビア樽でも、元は眉目秀麗の樹里である。服のセンスも、キツくかかった華やかなパーマヘアも、全てが大人で、十代の外見を与えられた自分には備わっていない大人の美しさだと感じたのだ。

 蓮が誰といようと関係ない事であるし、自分は今ハランといる。

 そこで突然、我に返った。

 モノクロのKIRIとして役目を終えた今、霧香はハランといる事に酷くパニック状態に陥った。

「……わたし、駅で降りる……」

「え ? どうしたの ? 」

「……もう、今日の予定は済んだし。

 大丈夫、真っ直ぐ帰るから。そのじゃがいも頂戴」

「……ごめ

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