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4.マゼンタ - 1

last update Last Updated: 2025-09-13 11:00:00
「えっと〜。契約者が、俺じゃ嫌 ? 」

「え ? いや、そんな事ないけど……。

 その……他の契約者とは違って……つまりサイとか蓮とか、そーゆー人が居ない時は、常にわたしのそばに居る的な契約だよ ? 」

「寝る時とかは ? 」

「今は狙われたりとか無いから大丈夫だけど……」

「割とガチのSPだな」

「それに、一緒にいたら本当に噂が止まらなくなるかもじゃん ? 」

 恵也は軽く息を吐くと、そのままゴロリと床に寝そべる。

 意外にも恵也は霧香との噂や、ネットの誹謗中傷を気にもしていない様子だった。

「……でも、誰かはお前を守らないとさ。

 嫌かもしれねぇけど、俺やるわ、第五契約者」

「あぅ……別に嫌って訳では無いよ」

 霧香としては、一番距離感の近くなる第五契約者に、一番気が合わなそうな恵也と組むのが不安なのだ。

 だがそれは霧香の私見であり、この二人の本質は似たもの同士な上に、恵也は面倒見がいい寛容な男である。

「……そのうち噂になるだろうから先に言っとく。

 俺さ。兄貴いたんだよ」

 唐突な語りに霧香はドキリとする。

 彩から、触れない方がいいと言われていた話題だったからだ。

 しかし会話に乗らないのも不自然だし、恵也が自分から身内の故人について話すのなら、何か伝えたいものがあるのだと悟る。

 そっと恵也のそばに、同じく仰向けで寝転ぶ。

「ふーん。そうなんだ……。仲良かったの ? 」

 無機質な蛍光灯が眩しくて、手で光を遮る。

「俺の実家って寺なんだよ。でも、俺も兄貴も寺なんか継ぎたく無くてさ。兄弟揃って、スティックだけ持ってこの街に来たってわけ。

 でも俺には才能なんか全然なくて、兄貴にはあった」

「お兄さんもドラマー ? 」

「うん。パンク。インディーズからメジャーデビューに駆け上がるのが早くて結構人気もあった。上京前から結成してたバンドだけど、こっち来て一年ちょいくらいですぐメジャー」

「凄いね」

「そう。すげぇ妬んだね。同じ兄弟なのに何が違えんだよって。俺、ガキだったし。その兄貴に食わせて貰ってたのにさぁ 」

 恵也の表情から笑みが消えた。

 霧香は横向きになり、恵也の次の台詞を待つ。

「すげぇ人気だったんだよ。出待ちの女の子とかチョーいっぱいいてさ。

 で、九ヶ月前。

 いつも出待ちで来てる子が目に止まって、そんとき
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