All Chapters of 植物人間だった夫がなんと新婚の夜に目を開けた: Chapter 1071 - Chapter 1073

1073 Chapters

第1071話

とわこ「あの二人、また親子喧嘩したみたい。奏、うちに住んでたのに、また自分の家に戻っちゃった」瞳「親子なんて、喧嘩しないほうが珍しいって。先生に蓮の宿題をもうちょっと増やしてもらったら?」とわこ「普段から結構出てるよ。もしかしたら、結婚式には来ないかも。海外で大会があるらしくて」瞳「行きたくないなら、無理に来させなくてもいいんじゃない?大人になれば、親子の関係も自然と良くなるよ」とわこ「うん。ねえ、結婚写真撮りに行くんだけど、一緒に来ない?リゾートで撮るの」瞳「OK!ちょっと準備して、すぐ行くね!」メッセージを送り終えると、とわこは奏の方を見た。「奏、カメラマン、もう決まった?」「うん」「ねえ、水の中で撮るのってどうかな?この前見たんだけど、すっごく綺麗だったの!」とわこの妄想が広がる。「あとね、崖の上で撮ってる人もいたよ!」奏「まさか空まで行きたいって言うんじゃないだろうな?」とわこ「なんでわかったの?飛行機あるでしょ?それで空に行って、ドローンで撮るの!」奏は少し眉をひそめた。「本気?」とわこは数秒考えたあと、あっさりと諦めた。「やっぱり、普通に撮ろう。とにかく結婚式を終わらせなきゃ。だってもう子ども三人いるのよ?これ以上延ばしてたら、蓮が先に結婚しちゃうかも」「うちの息子がそんなに早く結婚すると思うか?」奏は彼女の隣に腰を下ろす。「あいつ、女に全然興味なさそうだけどな」「今は興味ないのは当然よ。まだ未成年なんだから」とわこは自信満々に言った。「大人になれば、ちゃんと目覚めるって」「それはどうかな。君、あいつは俺に似てるって言ってただろ?俺だって君に会うまでは、女なんて興味なかった」奏はあっさりと言った。「じゃなきゃとっくに結婚してたさ。君に拾われることもなかった」「拾ったって?ちょっと、奏、自惚れもたいがいにしてよ!」とわこの頬がうっすらと赤くなり、ふと二人の出会いを思い出す。「まあ、あの時は確かに拾ったかもね。あの事故で植物状態にならなかったら、あなたの母親が勝手に相手を決めるなんてできなかったはず。あの時はあなたの方が優秀だったかもしれないけど、今は私だって負けてないわ」奏の深い眼差しが、赤く染まった彼女の頬に落ちる。「今は君の方がずっと優秀だよ」彼は惜しげもなく賞賛の言葉を口にした。
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第1072話

とわこの平静だった心が、一気に冷え込んだ。「あいつ、俺を怖がってるんだ」奏が静かに言った。「だから悟の方を選んだ。俺のところにいたくなかったんだ」「奏、その話はもうやめよう」とわこは胸が締めつけられるように苦しくなった。「今日は結婚写真を撮る日でしょ。暗い話はやめようよ」彼女は思っていた。たとえ黒介が悟の元に戻ったとしても、和夫のそばにいるよりはずっといい。黒介は悟の実の弟だ。悟なら、どんな事情があっても、自分の弟をひどく扱ったりはしないはず。ほどなくして、撮影チームが現れた。ちょうどその頃、瞳もリゾート地に到着した。瞳のアドバイスを受けながら、とわこは三つの異なるテーマでの撮影を選んだ。今日は天気も良く、外での撮影はとても順調だった。当初は外での撮影が1回、スタジオ撮影2回の予定だったが、外の方がリラックスできたため、急遽もう1回外での撮影を追加することに。時はあっという間に過ぎ、夕方になった。館山エリアの別荘。夕食の時間。「先に食べよう。ママは今日はウェディングフォトの撮影で帰ってこられないからね」マイクはとわこに電話をかけた後、子どもたちにそう言った。レラは口をとがらせて文句を言った。「なんで週末に撮らなかったの?見たかったのに、パパとママの写真撮るとこ」マイクは吹き出して笑った。「だって、今撮らないと式に間に合わないんだよ。二人とも賢そうに見えて、実はけっこう抜けてるからな」レラ「そんなことわかってて仲良くしてるマイクも、同じくらいバカってことじゃん!」マイクの笑顔が一瞬止まった。「レラ、お兄ちゃんもうすぐ海外行っちゃうから、これからは俺が一緒に遊んであげるんだよ?ちょっとは優しくしてくれない?」「ふん、弟もいるし!」そう言って、レラは蓮の方を見つめた。「お兄ちゃん、海外に行かないでよ」「昨夜約束したよね。もう撤回なしだよ」蓮は落ち着いた声で答えた。「ううっ、でも、ママが許してくれないかもしれないよ。ママ、きっと寂しがるもん」「レラ、それは君のママがどうこうって話じゃないんだよ。お兄ちゃんが出て行かないと、君のパパ、うちの玄関くぐれないんだからさ」マイクが茶化すように言った。「それに、お兄ちゃんは勉強しに行くんだ。将来はパパよりすごくなるぞ!」レラは項垂れ、小さな唇を尖ら
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第1073話

とわこは思った。蓮は明らかに、わざと自分との対話を避けている。考えれば考えるほど胸が苦しくなって、とうとう耐えきれず、奏に電話をかけた。「奏、蓮が留学を決めたの。私の元から離れていくのよ」電話の向こう、奏の呼吸が少し荒くなる。「俺にできることは?」「何もしないで。ただ、何もできないから」彼女は声を詰まらせた。「もう決めたって。マイクが言うには、遅くても明後日には出発するって。彼、もうこの家に一日たりともいたくないみたい」「彼がそう望んでるなら、行かせてやるしかない」奏は諦めたように言った。「とわこ、もう泣かないで。もう彼を子どもとして見るのはやめよう」「でもそう簡単に割り切れない。奏、私ね、このままじゃ、本当に彼を失ってしまいそうで、怖いの」「大丈夫だよ。彼は君の息子なんだ。永遠に失うなんてことはない」奏は優しく語りかける。「彼はただ俺と向き合いたくないだけ。君のことは、今も変わらず大切に思ってる。君だって、彼に会いに行けるさ。いくらでも」低く穏やかな声に、とわこの気持ちも少しずつ落ち着いていった。「とわこ、人生ってさ、何もかも思い通りにはいかないよ。でも蓮が元気でいてくれるなら、それだけで十分感謝すべきなんだよ」「うん明日は早起きして、ちゃんと話をしようと思う。どうせ行くなら悲しい気持ちのまま送り出したくない」「それがいい。今日はもう休んで」「うん。ところで、今なにしてるの?」「読書中」「何の本?」彼女は心の中で、彼の隣で寄り添っていたかった。「戦争関連のやつ」「あんまり遅くまで読まないでよ。明日に響いちゃう」「わかってる。おやすみ」電話を切ったあと、とわこは目を見開いたまま、暗い部屋の天井を見つめていた。奏が言っていた、「人生は思い通りにならない」ってこと、彼女だってわかっていた。彼だけじゃない。自分も、長い間、苦しい時期を生き抜いてきた。困難に直面しても、あの頃の自分はこんなに弱くなかった。必死で踏ん張って、この家を守ってきた。今は、奏がいる。だからこそ、信じたい。どんな困難も、きっと乗り越えていけると。翌朝。とわこは蓮の部屋を訪れ、話をしに行った。「蓮、ママは、あなたの決めたことを全部尊重するよ」昨夜泣きすぎたせいで、彼女の目は腫れていた。「ママはね、あなたの
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