レラは口を尖らせる。「その質問は、ママに聞いてください」「いやあ、聞きづらくてさ」と幹部はにこにこ笑いながら言う。「お母さんに聞いたら、悲しませちゃいそうで」「でも私に聞かれても、悲しいですよ」レラはしょんぼりした顔をする。「お父さんに会いたくなったんだろう」幹部は優しく誘導する。「お父さんが前に何度も言ってたよ。君のことが大好きだって。たくさん稼いで、君に使わせたいって」「ほんとですか?」レラは大きな瞳を輝かせる。「ほかには何て言ってました?」「君のお父さんは感情を表に出すのが得意じゃない。でも君の話になると、毎回すごく嬉しそうなんだ。娘のほうが好きだとも言ってた」レラは鼻の奥がつんとする。「お父さんに電話してみるかい。君からかけたら、きっとすごく喜ぶ」幹部は続ける。「今夜はお母さんが弟の面倒を見るだろうし、スマホを借りて電話してみたらいい」「おじさん、本当はパパと話したいんでしょう」レラは意図を見抜く。幹部の顔は少し赤くなり、照れたようにうなずく。「帰国してからずっと、君のお父さんの会社で働いてる。関係はとてもいいんだ」「そうなんですね……じゃあママにスマホ借りてきます」レラはそう言うと、すぐにとわこのほうへ向かう。とわこは蒼を連れて、ほかの子連れの女性たちと雑談している。「ママ、ちょっとスマホ貸して」レラはとわこの前に来て、手を伸ばす。とわこは考える間もなくスマホを取り出し、娘に渡す。「何するの?」「パパに電話する」そう言って、レラはスマホを持って離れていく。レラが去ったあと、とわこの隣にいた常盤グループの女性社員が口を開く。「レラちゃん、奏さんと本当に仲がいいんですね」「奏はあの子をすごく可愛がってる。ただ私と奏がケンカする時は、あの子は私の味方をする。でも心の底では、やっぱりパパが大好きなの」「奏さんの魅力を拒める人は少ないです。黙って立ってるだけで、人を惹きつけますから」女性社員は笑う。「この数年、ほかの会社からもっと条件のいい話もありましたけど、転職しませんでした」「それはお金に困ってないから?」「ははは。それもありますけど、奏さんの下で働くと安心できるんです。居心地のいい場所に慣れると、動きたくなくなりますよね」「うん、人ってそういうもの。私も最初は奏と毎日のようにケ
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