鈴は冷ややかな眼差しを向けた。事件の全容はすでに把握している。幸が梨々華に4億5千万もの賠償を求めたのは、彼女にしてみれば温情ですらあったのだ。まさか、この件にまだ続きがあろうとは。「中にいる中村は、梨々華の叔父だ。本人曰く、姪の無念を晴らすために独断でやったことらしい」鈴は鼻で笑った。なるほど、そういうことか。「……それで、梨々華本人は関与していないの?」仁は何も答えず、代わりにスマホを鈴に差し出した。画面には、すでに再生準備が整った動画が映し出されている。動画の中の梨々華は、さめざめと涙を流し、悲劇のヒロインを演じていた。「三井さん、私には本当に関係ないんです!全く知らなかったんです……!」「ただ、叔父に少し愚痴をこぼしただけで……まさか、あんな大それたことをするなんて思いもしなくて……」「信じてください! 私に叔父を唆すような度胸なんてあるはずないじゃないですか……っ!」「……」鈴はそれ以上見ていられず、忌々しげに動画を止めた。「よくもまあ、これほど綺麗に白を切れたものね」たとえ直接の指示でなかったとしても、彼女が無関係であるはずがない。「彼女に関わりがあろうとなかろうと、他人を唆して拉致を企てた罪は重い。塀の中でじっくり反省してもらうことになるわ」鈴は瞳に暗い火を灯し、スマホをしまうと仁と視線を合わせた。「行きましょう。あの男が何を吐くか、拝ませてもらうわ」言い捨てると、鈴は迷いのない足取りで奥へと向かった。気配を察した中村が、色めき立って叫ぶ。「おい!俺を出しに来たのか!?ああ?俺をこんな所に閉じ込めやがって、これは立派な監禁罪だぞ。訴えてやるからな!だが……今すぐここを出してくれりゃあ、今回のことは水に流してやってもいい。何もなかったことにしてやるよ……!」鈴は笑った。だが、その笑みは凍りつくほど冷たかった。彼女は一歩、また一歩と中村に詰め寄る。「何もなかったことに?……ずいぶんと虫のいい話ね」鈴の声は、まるで氷のように鋭く、中村の肌を刺した。男は思わず身震いし、声を荒らげる。「……誰だ、てめぇ!何のつもりだ!」鈴は中村の目の前で足を止め、冷徹な表情で見下ろした。「……私の顔、忘れたの?」中村は鈴の顔をまじまじと見つめ、それが誰であるか気づいた瞬間
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