南は先に席を外し、来依にも声をかけていた。今日は桜坂家に戻り、桜坂家の人々と再会する日だった。だが、彼女たちと桜坂家との間には積み重なった出来事が多くあったため、南は桜坂家に時間と空間を残すことにした。彼女たちが自然に桜坂家に溶け込んだ頃、改めて顔合わせをして、一緒に食事でもしようと考えていた。そのため、来依は海人を連れて来ず、紀香もそれにならった。そして予想通り、桜坂家の人々はこの二人については何も尋ねなかった。雰囲気は悪くなく、桜坂家のあれこれについて語り合い、彼女たちのこれまでの暮らしを聞いてきただけだった。おそらく駿弥があらかじめ話を通していたのだろう、結婚の件についても触れられることはなかった。「今夜は海人と清孝にも来てもらいましょう。お祖父ちゃんや皆さんに紹介するわ」来依は駿弥にそう言った。駿弥はうなずいた。「今夜は茂叔父さんも帰ってくる」「婿の集まりね」来依は笑った。「最初からそのつもりだったみたいね」駿弥は冷ややかに鼻で笑った。「君たち二人が気に入っているからだ。そうじゃなければ、俺はあんな連中相手にもしない。ずいぶんいじられたし」来依と海人の関係はそうひどいものではなく、むしろ来依の方が先にちょっかいを出したくらいだった。ただ、菊池家の人々が少々面倒だっただけだ。けれど清孝に関しては――。駿弥と来依は揃って紀香を見た。紀香は果物を食べる手を止め、気まずそうな表情を浮かべた。「その時、もし清孝を試したいなら、私は止めないよ」来依が尋ねた。「本当にそれでいいの?」紀香は言った。「別に惜しむことなんてないわ」「何言ってるの。本当に心を鬼にできるなら、そもそも彼とよりを戻してないはずよ」「だって……彼は命をかけて私を救ったんだもの……」来依は容赦なく言った。「でもあのとき、彼が命を懸けて助けても、絶対に振り返らないって約束したじゃない」「……」紀香は鼻をこすりながら、「まあ、その、もう結婚しちゃったし、離婚するわけでもないんだから。みんな仲良くした方がいいでしょ」やはり口ではそう言っても、本心ではないことくらい分かっていた。きっとこういう場面では否定するのもはばかられて、口をついて出た言葉なのだろう。来依と駿弥はそれ以上からかわなかった。「よし、少し
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