「生きている者からはもう何も聞き出せない。となると、死者から手をつけるしかないですね。検死の結果が異常死と判定されれば、正式な捜査に入れます。道木青城とて、すべてを隠し通せるわけじゃないですよ」海人は静かに返事をした。「お前がやれ。人手が必要なら、自分で用意しろ」「任務、必ず遂行します」そのやり取りを隣で聞いていた清孝が口を開いた。「道木家は冷酷非道だが、中でも青城はずば抜けてる。権力者として、手段も容赦ない。ただ、彼の父親がどうしようもない男でね。これまでに散々尻拭いをさせられてきた。鉱山事故の時も、青城は多忙だった。だから今回みたいに焦って現地に飛ぶってことは——何か処理しきれてないものがあるってことだ」海人はただ「ん」と短く答え、ソファに腰を下ろし、スマホを手にタイピングを始めた。清孝はそれを仕事の処理だと思っていたが、水を汲みに立ったとき、ちらっと画面を覗いて驚いた。——来依とのチャットだった。海人:【今何してる?】来依は一枚の写真を送ってきた:【テレビ観てる】海人が開いて見た途端、唇の端がわずかに上がった。【ご先祖様に倣って、不屈の精神を学んでるのかな?】来依:【紀香が言うには、今は危機的状況だから娯楽禁止で、戦争映画を観るべきだって。あなたがまだ何も処理しないから、彼女ストレスでキノコ生えそう】清孝が訊いた。「紀香はどうしてる?」彼は海人の隣のソファの肘掛けに腰を下ろしながら言った。「お前と嫁さんは芝居なんだから、紀香なんて出てこなくていい。出してこいよ」海人は来依に返信した。【この後どんな展開になっても、気にするな。もしきつかったら、南とたくさん話して。それでもダメなら、俺に電話してくれ】そして清孝に返答した。「来依は今、失恋中なんだよ。今紀香を彼女のそばから離したら、疑い深い青城にすぐ気づかれる。それに——紀香が来依の家を出たって、お前のところには絶対来ない」「……」清孝は海人に文句を言いたかったが、言葉を飲み込んで代わりに訊いた。「お前も昔、妻を追う修羅場やってたって聞いたけどさ、コツとかあれば教えてくれよ?」海人は容赦なかった。「俺は結婚してから三年間、相手を無視したことなんてない」「……」……その頃、青城はあの一家
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