早織はすすり泣くのをやめ、悔しそうに言った。「あなた、このお嬢さんと友達なんでしょ?どうせ彼女の肩を持つに決まってる」その時、隼人が口を開いた。「お前の言ったこと、俺もちゃんと聞いてたよ。このレストランの監視カメラ、性能が良くて音声もバッチリ拾えるらしい。確認してみるか?」その言葉に、早織の顔色が一瞬で真っ白になった。「あなたたち……あなたたち、ひどすぎる!」早織は突然ぼろぼろと涙をこぼし、大声を上げながら振り返って走り出した。顔をぬぐいながら、まるで自分がとんでもない目にあったかのような様子だった。有美は軽蔑の表情を浮かべながら言った。「自分でぶつかってシャンパンぶっかけたくせに、泣いてるふりって……最低」聡は冷たい視線で早織の背中をじっと見送り、それから星野に目を向けて訊いた。「君たち、どうやら深い関係みたいだね。彼女への賠償、君も一緒に負担するつもり?」星野は暗い瞳で聡を見つめた後、静かにうなずいた。「はい」聡は口元にわずかに笑みを浮かべたが、目はさらに冷たさを増していた。そのとき、星野が突然彼女に近づき、耳元で何かを低い声でささやいた。それを見た有美がすぐに星野を押しのけた。「ちょっと、なにしてんの?言いたいことがあるなら普通に言いなよ。そんなに近づいて……殴られたいの?」隼人も冷たい目つきで星野を見つめ、自然な動作で聡を後ろにかばった。けれど、星野は二人の反応には無関心で、ただじっと聡だけを見つめ、彼女の返事を待っていた。聡はさらに口元の笑みを深めながらも、鋭く言い放った。「自分にそんな資格があると思ってるの?」そう言って彼女は星野を無視し、そのまま客室の方へと歩き出した。星野の表情がじわじわと崩れていき、瞳には何かが壊れたような深い悲しみが広がっていた。自分には資格がない。つまり、聡は最初から自分を好きじゃなかった。最初から最後まで、彼女はただ「楽しんでいただけ」だったんだ。星野はうつむき加減で、その場に立ち尽くした。有美が冷たい声で言った。「聡ちゃん、逃げたよ?追わなくていいの?」そう言い残して、有美は隼人の腕を引き、聡の後を追っていった。「聡ちゃん、大丈夫?」追いついた有美が心配そうに声をかけた。「平気。ちょっと着替えてくるね」
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