由依はそのまま州平のそばへ歩み寄り、「この前、紫さんのところでちゃんとお話できないまま帰っちゃったでしょ。今回は、もう少し長くいてくれるわよね?」と言って、自然な動作で彼の腕に手を回し、海咲を後ろへ押しやった。宴会の時にはこんな行動はしなかった。あの時は海咲がどんな人物か知らなかったし、叔母から「州平を試してみて」と頼まれたこともあり、これまで兄のように慕ってきた州平のために手を貸すつもりだった。州平に妻がいると知れば、本来は義姉として敬意を払うべきだ。だが海咲のことはどうしても好きになれなかった。友人から耳にした噂では、この海咲は相当なやり手で、職務を利用して他人を押さえつけた
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