「うちのお嬢様は内海家のあの姉妹が順風満帆に地位を築き上げることを面白く思っていないのです」それを聞いた莉奈は目をパチパチと瞬かせた。唯花姉妹が誰かを怒らせたということか?しかし、それで莉奈のところに来てどうするつもりなのだ?彼女も唯花姉妹に報復できるような力など持っていないのに。「成瀬さん、我々と一緒に来ていただければ、わかります」莉奈は言った。「あなた達が一体何者なのかも知らないのに、一緒についていって、何をされるかなんてわからないじゃないの。マスクもつけていて、あんた達の顔も見えないし、マスクを外してその顔を写真に撮らせてちょうだい。夫にそれを送ってあなた達について行ったってことを伝えてからじゃないと一緒に行けないわよ。もしこの私に何かあったら、あんた達も無事で済むと思わないことね」「成瀬さん、すみません。我々はマスクを外すことはできないんです。成瀬さんが私どもと一緒に来られないのであれば、うちのお嬢様自ら来ていただくことになります。そうなれば、きっと大変なことになりますよ。うちのお嬢様は気性の荒いお方ですからね」「うだうだ言っていないで、直接一緒に来ればいいんですよ」もう一人の男が耐え切れなくなってそう言った。莉奈は彼のその言葉を聞いて、後ろを向きすぐに逃げ出そうとした。そして数歩進むと、首元に激痛が走り、そのまま感覚を失ってしまった。助けを求める大声をあげる時間すらなかった。莉奈に手刀を入れて気絶させた男が、彼女を黒のセダンに押し込み、もう一人と一緒に車に乗って、素早く去っていった。その時、彼らの車はナンバープレートが見えないように隠してあった。しかし、車は遠くまでくると、路肩に止まり、ナンバープレートが見えるようにしてまた車を出して去っていった。気絶させられていた莉奈はすぐに目を覚ました。彼女は起きると、車のドアをドンドンと力強く叩いて、車から降ろせと大声で叫び続けた。助手席に座っていたあの男が後部座席のほうへ振り向いて警告するように彼女に言った。「成瀬さん、大人しくしておいたほうが身の為ですよ。俺らを怒らせたら、無残な死に方しかできませんよ」「あ、あんた達、本当に一体何をする気なのよ?」莉奈は声を震わせながらそう尋ねた。彼女は震える手で自分の携帯に触れた。携帯は取られていないらしく
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